ファッション

2025.12.26 14:15

ドライヤー戦国時代から学ぶ、強みを活かしたビジネス商戦とは?

匠クラフト・ドライヤー

クリエイターとしての視点が、ドライヤー創りの原点

美容業界のアカデミー賞と称される「Japan Hairdresshing Awards(JHA)」最優秀新人賞の受賞以来、ずっと第一線で活躍している福井は、「PEEK-A-BOO」でのサロンワークに加えて、フォトグラファーや書道家としての顔も持つ。また、美容王国最前線の韓国でのワークショップや、国内で開催される美容セミナーで講師を務めるなど、日本のヘア向上にも、幅広く貢献してきた。

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美容をアートとして発信し続けるクリエイターとしての思考が、今回の「匠クラフト・ドライヤー」をプロデュースする上で活かされた事とは?

「仕事をする上で『世の中に足りないものは何だろうか?求められているものは何か?』というテーマが、常に存在しています。それには、一過性のトレンドもあれば、長く愛され続けていく本物もあります。一方で、昨今のドライヤー戦国時代では、『メーカーの広告戦略が世の中に影響を与えているのではないだろうか?』と疑問視してきました。なので、今回のドライヤーに際しては、ヘアドライに特化しているという自信を持っているので、広告を打っていません。品質の良さが口コミで広がっていくのが本来あるべき姿だと思うからです。私が目指すのは、(1)全国の美容師に気に入ってもらう(2)その美容師が自身の顧客にお薦めする。それが理想的です」

つまり、派手な広告やSNSでバズって、爆発的に売れるのではなく、商品に自信を持っているからこそ、本物を知るプロからの発信を最も大切に考えているわけだ。しかし、目指すターゲットは、赤ちゃんから高齢者までと、ロングセラーも見据えている。

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日本において、これまでは、「肌」のスキンケアに比べて、「髪」の美容偏差値が後発的だったのは、否めない。しかしながら、髪の美容は、高機能で高価格帯ドライヤーの出現によって、急速にアップデートされた。「髪は、絵画でいうなら額縁である。髪が美しいと、全体の印象度がぐんとアップする」という点が認識された事にもよるだろう。

世界のJAPAN美容の立ち位置から学習する、強みを活かした経営術

福井が考える美容における日本の立ち位置とは、世界基準で考えても、トップレベルに値すると語る。

「パーソナルやアイデンティティのステータスが上位に上がってくる競争社会の世界に比べて、個よりも和を大切に考えるのが日本人です。そんな実質本位の国民性を世界基準で見た時、日本の美容偏差値は、断トツにハイレベルだと感じます。それに加速して、近い未来、髪に対する価値観が変わると思っています。衣食住の次に来るのが『美』であるなら、髪型がその人のパーソナルと一致する世界観が重視される時代になるのではないでしょうか」

世界屈指の日本のマーケットで発信する商品なら、もの創りの原点に立ち返り「シンプルさ」に尽きるのではないだろうか?と今回リリースされた「匠クラフト・ドライヤー」が体現している。

つまり、原点回帰で、強みを活かす事こそが、もの創りやビジネス商戦で勝ち抜く手腕ではないだろうか? 顧客の声に耳を傾け、ひたすら「風」にこだわったこのドライヤーの出現が、昨今、経営者の哲学にもなっている、持続化経営に於ける商品創りを提唱してくれた。

福井達真◎1973年生まれ。京都府出身。ル・トーア東亜美容専門学校卒業後、「PEEK–A-BOO」に入社。グラデーション・ボブに定評が高く、サロン・ワークの他、全店舗のビジュアル統括クリエイティブ・ディレクターとしても活躍中

文=中村麻美

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