食&酒

2026.01.07 15:15

一流フーディーの舌鋒がえぐる「カウンター外食のマナー」、秘密会話はNGか、写真は?

Adobe Stock

店主に酒を勧めるのは可か?

調理中、店主にアルコールを勧めるのは慎むべきです。料理人が赤ら顔で酒を飲む姿を見て、衛生面や集中力の観点から不安を覚える客は少なくありません。執刀医や裁判官に酒を強いるのが非常識であるのと何ら変わりはありません。料理人とて同じことです。「後ほどじっくり頂きます」と、その場をサラリと流せる店主の態度にこそ、プロとしての矜持が見て取れます。

advertisement

お土産に関しても然り。カウンター越しにこれ見よがしに渡す行為は、親切心ではなく「俺は特別だ」という自己顕示に他なりません。周囲に対して「差し入れをするのが常連のルールなのか?」という無言の圧力をかけるだけでもあり、店にとってもありがた迷惑です。本当に店を思うなら、お土産はスタッフ経由でひっそりと渡しましょう。スマートな客は決して恩着せがましい真似はしないものです。

最後に隣席へ「絡む」行為ですが、これは万死に値すると言って過言でない、とあえて言わせてください。貴方にとっては楽しくてしょうがない食事の場であったとしても、隣席にとっては大切な別れを惜しむ最後の晩餐かもしれないし、あるいは亡き人を偲ぶ静寂のひとときかもしれません。それぞれの事情を抱えてカウンターに座る客同士、その縁を結ぶか否かは空間の支配者である店主のみが知る領分です。

分をわきまえ店主の采配を静かに待つ。それが大人の嗜みというものでしょう。

advertisement

⾧々と書き連ねましたが、極意は冒頭に記した通り「カウンターはチーム戦」。これに尽きます。自分だけが目立とうとするのは三流です。チームの空気に溶け込み、仲間に配慮する。所作が多少ぎこちなくても、チームの和を乱さず、静かにニコニコと食事を楽しむ。これだけで貴方は満点のゲストです。

そもそもマナーとは、同一の空間に閉じ込められた他人同士が、お互いに不快な思いをせず快適に過ごすために自然発生した知恵のようなもの。どうか堅苦しいルールだと毛嫌いせず、店主という指揮官のもと、最高のチームで最高の食体験を掴み取ってください。


筆者=タケマシュラン◎レストラン紹介メディア「タケマシュラン」運営。日本ソムリエ協会ワインエキスパート、SAKE DIPLOMA。C.P.A.認定チーズプロフェッショナル。

文=タケマシュラン 編集=石井節子

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事