「これまでに数百人とフランス料理会食した」という食の達人であり著名フーディー、人気レストラン紹介メディア「タケマシュラン」主宰のタケマシュラン氏。紹介した店は「即日予約が取れなくなる」とも言われるほどの、恐るべき影響力を持つグルメインフルエンサーだ。
料理のおいしさのみならず店の雰囲気、サービス、哲学などをオールラウンドに見る氏の辛口グルメレビューは絶妙なユーモアと皮肉にくるんだ容赦ない舌鋒に定評があり、絶大なファン層の厚さを誇る。
Forbes JAPANでは今後書き下ろし寄稿で氏の哲学思想を紹介していく。初回の今回は「カウンターでのマナー」について。読者諸兄はそれぞれの美意識、経験に照らしつつ、参考にしていただきたい。
一斉スタートのコース料理は「チーム戦」
今回はカウンター席での振る舞いについて整理します。基本的には鮨や天ぷら、割烹などの和食を想定していますが、フレンチやイタリアンのカウンターでも準用可能です。ただし、バーやスナックなど料理が主目的ではない店は少し勝手が異なるため、あくまでカウンター席での食事マナーであるという前提で読み進めてください。
結論から言います。カウンターでの食事、特に一斉スタートのコース料理は「チーム戦」です。この一点を腹に落とすだけで、貴方の振る舞いは劇的に洗練されるはずです。
何より先にお伝えしたいのが、一斉スタートにおける遅刻は犯罪に等しいということ。貴方は「たかが5分10分」のつもりかもしれませんが、まともな客は定刻の5分10分前には着席して心を整えているものです。つまり、開始の時点ですでに20分もの温度差が生じていることになります。この時点で、貴方がチームメイトから敵対視されていることは言うまでもありません。
「客を待つ店が悪い」という議論もありますが、仮に店が定刻にスタートしたとしても、店主の意識にはノイズが残り、料理に集中できなくなる。結果として最高のパフォーマンスが阻害され、チーム全員が損をするのです。
服装は、兎にも角にも清潔感です。チームメイトの視界を汚さなければそれでOK。高価である必要は微塵も無く、老若男女問わずユニクロの白シャツと黒ジャケットで事足ります。控えるべきは、ロゴがデカデカと主張するハイブランドの服。あれはカウンターの景観を損ねる公害です。断言しますが、それを見て「わあ! 素敵!」などと感心する客は一人もいません。賭けてもいい。
次に無臭であることを心掛けてください。料理や酒の価値の半分は香りです。カウンター席はいきおい隣客との距離が縮まりがちなので、自身の香りが他者の食体験を破壊することを自覚すべきです。飲食店での香水は懲役刑と法律で定めても良いくらいです。



