人々を資産投資へ向かわせようとするこの動きは、ウォール街がこの2年でビットコインと暗号資産へ雪崩を打つように参入してきた状況と軌を一にする。
「ビットコインの2025年終盤の失望感は、今年が12万6000ドルという新たな史上最高値を付けた年であることを覆い隠しています。一方で、バンガードや、さらにはJPモルガンのような最も保守的な金融機関さえ、より広い金融エコシステムの正当な一部としてビットコインを受け入れ始めています」と投資アナリストでThe Coin Bureauの共同創業者でもあるニック・パックリンは述べている。
「また今年は、ブラックロックのiShares Bitcoin Trust ETF(IBIT)が史上最も成功したローンチの一つとなり、複数のアルトコインETFが承認され、強い需要が見られた年でもありました。売りが出る局面では木を見て森を見ない状況になりがちです。しかし視点を引いて見れば、9万ドルのビットコインでさえ、ほんの数年前には夢物語でした」。
世界最大の資産運用会社であるブラックロックは、2024年初頭のローンチ以降、約700億ドル規模の現物ビットコインETFを積み上げた。ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーといった企業も、ビットコインや暗号資産の取引デスクを開設している。
ウォール街による採用は、トランプ政権が暗号資産、特にステーブルコインを主流金融の枠組みに取り込もうとする動きと並行して進んでいる。
今年成立したステーブルコイン法案「Genius Act」(ジーニアス法案)に続き、2026年第1四半期には「market structure bill」(市場構造法案)が後に続く見通しだ。
ただ現時点で、ビットコインと暗号資産のトレーダーは、ホリデー期間の出来高低下により、大きな値動きは見込みにくいとみている。
「クリスマスのホリデーシーズンが近づくにつれ、流動性は薄い状態が続くと見込まれ、短期的にはビットコインが持続的な方向性のトレンドを確立する力は制限されるでしょう」と東京のビットバンクで暗号資産市場アナリストを務める長谷川友哉は述べている。
「今週見られた荒い値動きは、市場参加が減ったことに主として起因しているようです。そのため、不安定な取引環境は来週まで続く可能性があります。年末前後は伝統的に『サンタクロース・ラリー』(年末年始に相場が上昇しやすい現象)と結び付けられてきましたが、こうした季節性のパターンは過去2年は現れていません。したがって、短期的にビットコインが反発するとしても、季節要因だけで押し上げられるのではなく、データとセンチメント(市場心理)に左右される可能性が高いでしょう」


