トランプ政権下の規制緩和と、監督機関による監視の後退
バイデン政権下では、債権回収業者はCFPBの厳しい監督下に置かれていた。同局は特に療費や学生ローンの違法な債権回収行為を問題視して、数多くの執行措置を講じてきた。その代表例が、債権の買い取りと回収を手がける大手のPRAグループだ。2023年3月、CFPBはPRAグループに対し、消費者への1200万ドル(約18億7000万円)の返金と、同額の制裁金の支払いを命じた。その理由には、未払いローンに関する必要な書類を保有しないまま、消費者を提訴していたことなどの複数の違反行為が含まれていた。当時PRAグループは不正行為を認めず、CFPBの指摘には同意しないと表明していた。
期限内回答率の悪化が目立つ、大手回収業者の対応実態
しかしPRAグループは、2025年に入ってから、CFPBに寄せられた消費者からの苦情に対し期限内に回答しないケースが増えている。2025年の11月末までの同社が期限内に回答しなかった苦情は611件に上り、全体の約4.3%を占めた。この件数は、2024年の同期間は0.7%にとどまっており、対応の遅れは明らかに増えている。PRA広報担当者は、この件についてのコメントを控えた。
一方、債権回収会社クレジット・コレクション・サービス(CCS)の状況は深刻だ。マサチューセッツ州ノーウッド本拠の同社は、2025年に入ってから全体の40.4%に及ぶ2870件の苦情に期限内で対応していなかった。2024年の同期間は20.8%だったことから、対応の遅れは大幅に悪化した形だ。CCS幹部は、コメント要請に応じなかった。
これとは対照的に、ミッドランドとリサージェントは、CFPBへの苦情に対する期限内回答率がほぼ完璧で、期限内に回答しなかったケースは全体の0.1%未満にとどまっている。
監督対象の大幅削減案と、懸念される消費者への影響
債権回収業者の活動が明らかに活発化しているにもかかわらず、CFPBの代理局長ラッセル・ヴォートは2025年8月、同局の監督対象となる債権回収会社の数を現在の200〜250社から、最少で11社まで減らすべきかどうかについて、情報提供を求める公開要請を出した。仮にこの変更が実施されれば、当局の監督下に置かれる債権回収活動は、売上高ベースで全体の18%にとどまることになる。ヴォートは、提案の理由として、債権回収業者にとって「不要なコンプライアンス負担」が生じていることや、「限られた局のリソース」が非効率に使われていることへの懸念を挙げた。
監督・取り締まりを担う体制が縮小すれば債権回収業者に有利になり、消費者の状況は悪化する可能性が高い。非営利の消費者保護団体、全米消費者法センターのシニア弁護士を務めるエイプリル・キューンホフは、「メディケイドや医療保険補助が削減されれば、消費者の自己負担が増え、支払えなかった医療費が将来、債務として回収の対象になる」と警告した。


