ボケがサンドバッグになる
ニック:そう! アメリカのシットコム「フルハウス」とかに入ってる笑い声、あれも同じ役割。「ここが笑うポイントだよ」っていうサイン。
日本のお笑いって「安全」。例えば、太ってるボケと背の高いツッコミがいたら、ツッコミがその相方をいじる。その人にだけツッコんでいるからお客さんは誰も傷つかない。
バイロン:ボケがサンドバッグになるんだね。
ニック:そうそう。だから、お客さんの中に、ボケ役に似た人がいても、その人も笑える!
Mr.FUJI:確かに、2人で漫才をするときは、片方がおバカな役になって「なんでおバカなんだよ」って、普通の人とのズレを指摘することで面白くなる。1人ネタだと、自分がわざと「下に行く」感じでズレを作るよね。それってアメリカでは違うの?
ニック:うん、全然違うね。
バイロン:インサルト・コミック(侮辱ネタ)とか説明した方がいいかも。
ニック:そうだね。アメリカではお客さんをいじり倒すコメディアンもいるし……。
ユナ:あと、アメリカのは皮肉がすごく多い気がする。
ニック・バイロン:うんうん。
ニック:日本はそこまで皮肉(サーカズム)が無くて、もっと「馬鹿馬鹿しさ」で笑いを取る。この前すごい番組を見たんだけど、「ツッコミがツッコむ時、どれくらい離れるか」っていう大会(笑)。
オリンピックの種目みたいな感じで、床に何センチとか書いてあって、めっちゃ意味ないけど最高に面白くて、「めっちゃ日本!」って思った。
Mr.FUJI:「意味が無いことを本気でやる」感じね。
ニック:そうそう!
Mr.FUJI:それは確かに日本の良さでもあるよね。
ニック:俺めっちゃ笑って! やっぱ日本のお笑い面白いなって思った。

ユナ:逆に言うと、日本人がアメリカ人のジョークは面白くないって言うけど、アメリカ人が日本のを面白くないって言うのはあんまり聞かないかも。
Mr.FUJI:どう、それは?
ユナ:日本人の友達がアメリカに行くと、「アメリカのジョーク一個も分かんない」みたいな。日本人側は、アメリカのジョークがすごく馬鹿馬鹿しくて笑えないっていう。
ニック:そうそう!
ユナ:でも、日本人が「アメリカのジョーク分かんない」って言うけど、アメリカ人が「日本のお笑い面白くない」ってあんまり聞かないかも。
ニック:でもネットでは「日本のお笑いは子供っぽい」って言う人も結構いる。
ユナ:知らなかった! そうなんだ。
ニック:あと、アメリカで衣装を着ることはめっちゃダサいことなんですよ。
やないも:コスチュームみたいな?

ニック:そう。スタンドアップコメディアンはだいたい私服。衣装に頼らない。
Mr.FUJI:とにかく明るい安村(日本のお笑いタレント、イギリスの公開オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」で日本人初の決勝進出者、後述のアメリカの公開オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」でも第19シーズンに出演、準々決勝に進出した)さんとかは?
ニック:それは「アメリカズ・ゴット・タレント」だから。
ユナ:ジャンルがちょっと違うよね。
「アメリカズ・ゴット・タレント(コメディアン、ダンサー、シンガー、マジシャンなど幅広いジャンルのパフォーマーが賞金100万ドルをかけてオーディションに挑むアメリカのスター発掘番組)」は、お笑いではなくて「芸」みたいな感じだね。競うのは「面白さ」より「タレント(才能)」って感じ。
ニック:そうそう。そしてアメリカも、50年代とかは派手なスーツを着ていたけど、今は逆。日本では、下ネタを言うのは安っぽい、みたいな前提があるけど、それと同じ考え方で衣装に頼るのは安っぽい、みたいな。アメリカはめっちゃ下ネタとか、ブラックジョークとかが多いんですけど。


