拡大する海上戦域
この動きは水面下でも拡大している。ウクライナ軍は15日、ロシア南部黒海沿岸のノボロシースク港で同国のキロ型潜水艦を標的とした水中無人機の対潜水艦作戦が初めて成功したと発表した。
ウクライナの英字紙ユーロマイダンプレスは、ノボロシースクでの攻撃はロシア海軍の防衛上の構造的弱点を浮き彫りにしたと伝えた。ロシア海軍のシステムは水上無人機やミサイルからの防衛に最適化されているが、音響や監視の隙間を突く低速で低シグネチャーの水中無人機に対してははるかに効果が低い。同紙の報道によると、ウクライナ軍の水中無人機は事前にプログラムされた中間地点と自律誘導に依存しながら、港湾の複雑な形状でも航行することができる。
ウクライナ黒海戦略研究所で影の船団を監視するアンドリー・クリメンコは米紙ニューヨーク・タイムズに「ノボロシースクをはじめとするロシアの港に石油を求めて出向く者は全て、石油を入手する前に攻撃される」と語った。
ウクライナは、戦争継続を可能にしているロシアの石油収入を断つとともに、同国の軍事資産への圧力を強化しようとしている。2025年を通じて、ウクライナ軍はロシアの石油精製施設への攻撃に注力していたが、最近はノボロシースクなどの港にある石油ターミナルを含む輸出施設に攻撃の焦点を移している。この動きは、象徴的な妨害から、ロシアの石油輸出の処理や輸送に対する持続的な圧力への移行を反映している。
ウクライナ軍のキリロ・ブダノウ情報部長は6月、軍事誌「ザ・ウォーゾーン」の取材で、海上での両国の勢力均衡が事実上逆転したと述べた。「(ロシアの)艦隊は完全に封鎖されている。ロシア人はかつて、ウクライナには艦隊がない、少なくとも数隻の船しかないとやゆしていたが、今やロシアは同じ問題に直面している」
ウクライナ海軍の無人機は事実上、ロシア黒海艦隊を部分的に封鎖している。ロシアが取ることのできる明白な対抗手段は、影の船団が黒海を航行する際に軍艦で護衛することだろう。しかしそうすれば、それらの護衛艦も無人機の脅威にさらされることになり、防護が追加の負担となる。


