米国のドナルド・トランプ大統領は、ベネズエラとの戦争の可能性を排除しないと表明した。一方、今月29日にはトランプとイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の会談が米国で予定されている。この会談でネタニヤフは、イランに対する新たな攻撃についてトランプに説明する見通しだ。
6月にイスラエルとイランが12日間にわたって交戦した戦争の終盤、米国はイスラエル側に立って思い切った介入をし、イランの地下核施設に空爆などを加えた。さらに米軍はこの戦争中、イスラエルに向けて発射されたイランの弾道ミサイルやドローン(無人機)を迎撃してもいる。だが、もし2026年にベネズエラとの間で代償の大きい戦争にはまり込めば、米国は軍事リソースが逼迫し、イスラエルとイランの新たな戦争時にイスラエルの防衛を支援する能力が制限されるおそれがある。イスラエルとイランの新たな戦争が向こう数カ月内に勃発する可能性はかなり高い。
イスラエル当局は先週末、イランが数日前に始めたミサイル演習についてトランプ政権に警告し、演習に見せかけてイスラエルを一斉攻撃する準備をしている可能性があるとの懸念を伝えた。米ニュースサイトのアクシオスによると、イスラエルとイランの間では、互いに相手側が攻撃を計画していると誤って判断し、先制攻撃を試みることをきっかけに、新たな戦争が始まるリスクがある。
イスラエル空軍機がイラン各地を爆撃し、米軍のB-2「スピリット」ステルス戦略爆撃機がイランの主要な核施設を空爆した「十二日戦争」以降、イランはミサイルプログラムの再建と拡大を急いできた。その結果、イスラエルは現在、イランのミサイルプログラムを短・中期的に核プログラムよりもはるかに重大で、差し迫った脅威と認識するようになっている。イラン当局も、次の戦争では一度に最大2000発のミサイルをイスラエルに撃ち込む能力を有しているだろうと公言している。これは、12日間の戦争を通じてイランが発射したミサイル総数の4倍にのぼる数だ。
ネタニヤフはトランプの支持を取りつけて、イランのミサイルプログラムをたたく新たな先制攻撃作戦を発動し、イランの目標達成を阻もうとするかもしれない。だが、その間に米国とベネズエラの緊張が両国の全面戦争に発展した場合、米国は6月に行ったのと同程度にイスラエルを支援したり、防衛したりすることはできなくなるかもしれない。



