ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の打倒を目的とした米国のどんな戦争も、損害が大きく問題も多かった2003〜11年のイラク戦争と少なからず似た泥沼状態に急速に陥るおそれがある。アナリストらは、米軍は通常戦闘ではベネズエラ軍に勝利するとみているものの、その後、ベネズエラの分散した民兵組織などを相手に、対反乱作戦を何年も続ける事態に陥る可能性がある。留意しておくべきなのは、ベネズエラの国土はイラクの2倍の広さがあるということだ。
さらに言えば、当初の通常戦闘の段階でさえ、米海軍はマドゥロ政権を屈服させるべくベネズエラ軍に壊滅的な損害を与えるために、トマホーク巡航ミサイルや、駆逐艦から発射するSM-2、SM-3、SM-6といったスタンダードシリーズの迎撃ミサイルを相当な数消費することになるかもしれない。
米軍はすでに、中東で2023年10月以降に発生した数々の紛争で、1発数百万ドルかそれ以上するこれらのミサイルを驚くほど大量に使用している。
2024年1月だけでも、米海軍はイエメンの反政府勢力でイランを後ろ盾とするフーシ派に対し、イスラエルや紅海を航行する商船に対する攻撃への報復としてトマホークを80発発射している。トマホークの生産数は近年、年間55〜90発程度にとどまっているのが現状だ。米海軍はさらに2025年1月までの1年3カ月間に、フーシ派のドローンや巡航ミサイル、弾道ミサイルを迎撃するために、少なくともSM-2を120発、SM-3とESSM(発展型シースパローミサイル)を計20発、SM-6を80発発射している。
空母ドワイト・D・アイゼンハワーを中核とする空母打撃群だけで、2025年半ばに完了した9カ月におよぶ展開中に、フーシ派に対してスタンダードミサイル155発とトマホーク135発を発射した。
十二日戦争の終盤、米軍はイランの核施設を目標に実施した「ミッドナイト・ハンマー(真夜中の鉄槌)作戦」で、イラン中部イスファハンの核施設に向けてトマホークを30発発射した。また、この戦争中、米軍はイランの弾道ミサイルに対してSM-3をおよそ80発、地上配備のTHAAD(終末高高度防衛)ミサイルを150発あまり発射した。SM-3とTHAADは米軍の迎撃ミサイルのなかで最も高度な部類に入り、価格はいずれも1発およそ1000万ドル(約15億6000万円)もする。


