キャリア・教育

2026.01.07 13:30

「先回りの戦略」の時代:田坂広志の深き思索、静かな気づき

市場競争が激化する時代において、必死の努力をしても勝てない企業が増えている。例えば、横並びの競合企業に対して懸命に一歩リードしようとしても、相手も必死であり、そう簡単ではない。また、先行企業を追い抜こうと思って社員を叱咤激励しても、先行企業も決して油断せず、全力で走っており、追い抜くどころか、追いつくことさえ至難である。

では、こうした状況で、企業は、いかなる戦略を採るべきか?

「先回りの戦略」を実行すべきである。

すなわち、市場競争の主戦場が、次にどこに移っていくかを予見し、その主戦場に「先回り」し、競合企業よりも早く、その戦場での戦いを準備し、圧倒的優位を築いて、戦いに臨むことである。

この「先回りの戦略」については、著書『まず、戦略思考を変えよ』において詳しく述べたが、ここでは、本書より、次の言葉を紹介しておこう。

その先を読め。
そこから「戦略思考」が始まる。
その先に橋頭保を打て。
そこから「戦略行動」が始まる。

しかし、実は、こうした「先回りの戦略」は、以前は、極めて困難であった。なぜなら、市場における主戦場の移行が非常に遅かったからである。そのため、主戦場の移行の先を読み、「先回りの戦略」を実行しても、「待ちきれなかった」からである。

すなわち、こうした戦略においては、「戦略待機時間」(その戦略が効を奏するまでに、どれほどの時間、待つ必要があるか)と「戦略耐久時間」(その企業が、どれほど待てる体力があるか)が極めて重要であるが、以前は、ほとんどの場合、「待機時間」が「耐久時間」を上回っていたのである。

しかし、すでに時代は、過去の7年の変化が1年で起こる「ドッグ・イヤー」を超え、さらには、過去の18年が1年で起こる「マウス・イヤー」さえ超える時代になっている。

そのため、市場の変化と主戦場の移行が極めて速くなり、「戦略待機時間」が圧倒的に短くなり、「戦略耐久時間」の短い体力の無い企業でも、その主戦場の移行を「待てる」ようになったのである。

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文=田坂広志

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田坂広志の「深き思索、静かな気づき」

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