経済

2026.01.04 11:15

日銀0.75%利上げで1700社が赤字転落 企業負担は年64万円増 帝国データバンク試算

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日本銀行が政策金利を0.75%程度に引き上げることを決定した。1995年以来、約30年ぶりの高水準となるこの決定は、企業の資金繰りに直接的な影響を及ぼす。帝国データバンクの試算によると、借入金利が現行から0.25%上昇した場合、有利子負債を抱える企業1社あたりの年間支払利息負担は、平均で64万円増加するという。この負担増は、企業の経常利益を平均で2.0%押し下げる計算だ。

さらに、この利息負担の増加によって、新たに約1700社、社数比で1.6%の企業が経常赤字に転落する可能性がある。仮に今後、金利がさらに1.00%まで引き上げられた場合、利息負担は年128万円増となり、赤字転落企業は約3500社、3.3%の規模まで膨らむ計算となる。企業の収益環境にとって、金利上昇は決して無視できないコスト増要因となっている。

金利上昇のインパクトは、業種によってその色合いが大きく異なる。最も深刻な影響を受けるのは、多額の借り入れを伴うビジネスモデルを持つ「不動産業」だ。借入金利が0.25%上昇するだけで、1社あたりの年間利息負担は276万円増加し、経常利益を5.1%も押し下げる。同業種の3.3%が赤字に転落するという試算は、他の業種と比較しても突出している。

一方で、最も影響が小さいとされるのは「建設業」である。1社あたりの負担増は年間19万円、経常利益への影響も1.3%減にとどまる見通しだ。業種ごとの負債構造の差が、そのまま利上げ局面における経営体力の差として表れている。

ただ、2025年1月の調査結果と比較すると、同じ金利上昇シナリオであっても、赤字に転落する企業の割合や利益への下押し効果は、今回の試算の方が低くなっている。これは、企業が徐々に「利上げへの耐性」を獲得していることを示唆している。

今後の見通しとして、金利上昇の影響を最小限に留めるためには、増加する利息負担を上回る収益の確保が不可欠となる。具体的には、適切な価格転嫁を通じて利益率を改善させること、あるいは生産性向上に向けた投資を継続できるかどうかが、企業の命運を分ける鍵となるだろう。借入金利の上昇は、単なる財務上の負担増ではなく、企業の「稼ぐ力」そのものが改めて問われる局面といえる。

多くの日本企業にとって未知の領域ともいえる「金利上昇局面」において、資金繰りの見直しや収益構造の再構築といった抜本的な対策が、これまで以上に強く求められている。

出典:帝国データバンク「日銀の追加利上げが企業に与える影響度調査(2025年12月)」より

文=飯島範久

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