サイエンス

2026.01.01 18:00

世界で最も長生きする(193歳)の陸生動物、進化は老化を「ほとんど停止」させられる

セントヘレナ島で暮らす「ジョナサン」(Shutterstock.com)

1. ゾウガメの長命は、進化によって形成された

島しょ環境(特に、ガラパゴス諸島や、ジョナサンの生まれたセーシェルにあるアルダブラ環礁)は歴史的に、ゾウガメにとって捕食リスクの非常に低い生息地となってきた。餌が豊富で捕食者が少ない、この極めて安定した生態系において、進化は、短期に繁殖する動物よりも、成長が遅く、繁殖速度が低く、長期的に生存する能力が発達した動物を有利にしてきた。

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おそらくこの生存戦略こそが、自然に寿命が延びた要因だ。2014年の『Nature』誌に掲載された研究では、40種以上の生物を比較したところ、リクガメは、脊椎動物の中でもトップクラスに低い老化速度を記録している。その死亡曲線は、ほとんどの生物のように年齢とともに急上昇することはなく、比較的平坦なまま維持される。

2. ゾウガメの代謝は、長生きに適している

ゾウガメは、代謝率が極めて低いため、活性酸素(細胞内に蓄積する有害分子)の生成量が少ない。酸化ストレスが少ないため、組織の劣化速度は、哺乳類に比べてはるかに遅い。

生理学的研究によると、爬虫類はとりわけ強力な抗酸化防御機構を備えている。これが、代謝損傷の蓄積を抑える主な要因である可能性が高い。わかりやすく言うと、彼らの体内の「摩耗」は、哺乳類と比べて何分の1かの速度でしか進まないということだ。

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3. ゾウガメは、保護と修復に長けたゲノムを有する

2019年に『Nature Ecology & Evolution』誌に掲載されたゲノム研究で、ゾウガメは、以下の機能に関連する拡張された遺伝子ファミリー(類似遺伝子の組み合わせ)を持つことが明らかになった。

・DNA修復
・免疫系の頑健性
・抗酸化物質の生成
・腫瘍発生の抑制

同研究によると、ゾウガメには、細胞周期の調節、アポトーシス(細胞死)、DNA損傷応答について、重複して関与する遺伝子がある。その結果として彼らには、多層的な保護のバックアップが自然と備わっている。

これは、ゾウなど他の長命種に見られるパターンと類似しているが、ゾウガメは異なる遺伝的構造を用いている。重要なのは、これらのゲノム適応が、ほとんどの脊椎動物において一般的に老化を促す分子過程の多くを阻害するという点だ。

4. ゾウガメは、効率的な細胞維持機構を有する

上述した2019年の研究が指摘するように、長命のゾウガメは、プロテオスタシス(タンパク質恒常性)、オートファジー(細胞内における不要物の分解)、ミトコンドリア機能の維持に関連する経路の活動が有意に高い。

特に注目すべきは、これらがすべて細胞損傷の蓄積を防ぐプロセスである点だ。結果的にこれらの機構は、高齢期に至るまで若々しい組織機能を維持するのに役立つ。これらは、ゾウガメに「ほとんど老化しない(Negligible senescence)」特性をもたらしている、最も基本的な要素の一部だ。

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翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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