青色発光ダイオード(LED)の発明者でノーベル物理学賞受賞者として知られる中村修二と、ドローン開発のACSLで代表を務めた太田裕朗は2022年11月、米国カリフォルニア州でBlue Laser Fusion(以下、BLF)を共同創業した。同社は、カーボンニュートラルな発電が可能な技術として注目される核融合(フュージョン)発電の商用化を目指している。高効率・低コストでメガジュール(メガは100万)級のパルスエネルギーを繰り返し出力する独自の「オプティカル・エンハンスメント・キャビティ(OEC)」を中核技術として、レーザー核融合炉の社会実装を推進。24年末からは日米の研究施設で技術実証に取り組んでいる。
23年11月にBLFが実施したシードラウンドに、前澤ファンドの中山淳二は投資担当として参画した。
中山:前澤ファンドは、ZOZO創業者の前澤友作が2020年に設立したスタートアップ投資会社です。我々は、身の回りから宇宙まで幅広いジャンルで、社会課題の解決を目指す志の高い起業家を応援しています。「夢のエネルギー」といわれる核融合発電の社会実装は正にど真ん中のテーマ。ノーベル賞受賞者であり偉大な発明家の中村先生と、ご自身でも上場経験があり技術とビジネスの橋渡しに長けている太田さんのタッグということもあり、前澤と共に投資を即決しました。
中村:太田さんとは、彼がカリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究員をしていたときからの付き合い。ドローンの会社で成功して、VCを立ち上げた後に、「一緒にベンチャーをやりましょう」と誘われたのが共同創業のきっかけです。22年6月に日本で一緒に食事したときに、米国ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)が取り組んでいるレーザー核融合の話をしたんですよ。太田さんは大学生だったころに、磁場閉じ込め方式の核融合を研究していたこともあり、「レーザー核融合の会社をやりたい」と。私は最初、冗談だと思ったんですけどね(笑)。
太田:確かに勢いに任せたところはありましたね。しかも、中村先生も私もレーザー核融合の専門家ではない。でも、やりたくなってしまった。
中村:その後、太田さんから大量の資料が送られてきて、レーザー核融合の問題点を丹念に調べていた。その核心は、レーザーの出力が足りないというものです。私も興味が湧いて、どうやったら出力を上げられるか6カ月かけて毎日議論することに。そこでたどり着いたのが「OEC」のアイデア。従来のレーザー式とはまったく違う技術です。私たちはこういう新しいことが好きなんです、お互いに。
中山:先ほど挙がったLLNLは、22年12月に世界で初めて核融合点火に成功して、入力したエネルギーよりも多くのエネルギーを核融合反応から生成するブレイクスルーを成し遂げています。ただ、彼らが用いる固体レーザーは強力すぎるがゆえに、一度使うと高熱になってしまい連射ができない。一方、OECは向かい合わせの鏡を用いた共振器にレーザー光を閉じ込めて反射させることでエネルギーを増幅させる仕組みで、繰り返し出力できる。これが完成すると、核融合炉の商用化に一気に近づきます。



