12月の夜空に詰め込まれた星空ファンへの贈りものを楽しんでくれているだろうか。この数日間だけでも、恒星間彗星「3I/ATLAS」の地球最接近、冬至、さらに高緯度地域ではオーロラも観測されている。
クリスマスを迎える今週は、南西の夕空に地球照を伴った繊細な三日月がかかり、東の夜空では木星が年明け10日の「衝(しょう)」を控えて明るく輝く。クリスマスイブには大規模なオーロラの出現予報も出ている。
2025年12月23日からの1週間の夜空の見どころを紹介しよう。
12月23日(火):地球照と細い月
日没後、南西の低空に月齢3の華奢な上弦の月が浮かんでいる。月の影の部分が幽玄な光をまとっているのが見えるかもしれない。これは「地球照」と呼ばれる現象で、地球の表面で反射した太陽光がつくり出す実に優美な光景である。空がすっかり暗くなってしまう前に、双眼鏡か肉眼で観察するのがおすすめだ。

12月24日(水):クリスマスイブの月とフォーマルハウト
ほんの少しだけ存在感を増した細い月が、地球照を再び伴いつつ、前日よりも高く南西の夕空にかかる。月が沈むまでの時間も前日より長い。そのまま左方向へと視線をずらすと、ぽつんと1つだけ明るく光る星がある。「秋のひとつ星」の異名をとる、みなみのうお座の1等星フォーマルハウトだ。周囲に明るい星は他にないため、見つけやすいだろう。月とフォーマルハウトが仲良く地平線に沈んでいく様子を見守ろう。

12月25日(木):「クリスマスの星」
今宵はクリスマス。日が沈んでから約2時間後に東の空を眺め、「惑星の王」こと木星が昇ってくるのを観察しよう。太陽系最大のこの惑星は、地球を挟んで太陽と正反対の位置にくる「衝」まであと2週間余り。今が夜空で最も大きく、明るく見える時期だ。木星と競うようにしてオリオン座も姿を現す。

12月27日(土):月と土星が並ぶ
夕闇が迫る南の空の高いところを見上げると、やや欠けた半月のすぐそばに土星が光っている。夕空に土星の見える位置は日々西へと移動しながら少しずつ高度を下げ、1月にかけて輝きも次第に弱まっていく。土星の下方、低空にぽつんと光っているフォーマルハウトも探してみてほしい。

12月28日(日):上弦の月
今宵は上弦の月。ちょうど半分の明るさで、日没後の南南西の空に輝く。
今週の星座:ぎょしゃ座
夜の帳が下りてすぐ、東北東の空高くにレモン色の輝きを放つ明るい星が見える。これが1等星カペラで、ぎょしゃ座を代表する星だ。現在、天の北極に最も近い1等星でもある。ぎょしゃ座はカペラを含む5つの星が将棋の駒のような五角形に並んでいる。

木星の衝
木星を観察するなら、今が絶好のタイミングだ。肉眼、双眼鏡、望遠鏡のどれでも見ごたえがある。年が明けてすぐの2026年1月10日に、木星は13カ月にいちどの「衝」を迎えるからである。
衝の木星は、地球を挟んで太陽と正反対の位置関係にくる。1月10日の夜、この巨大ガス惑星は1年間で最も明るく輝き、日没とほぼ同時に東の空に昇って、一晩じゅう夜空に君臨する。

とはいえ、来年まで待つ必要はない。すでに夜を迎えた東の空で、ふたご座の兄弟星カストルとポルックスと共に、すばらしい眺めを披露している。




