起業家

2026.01.05 16:30

47歳で評価額約8635億円のAI企業を築き、億万長者となったインド出身連続起業家

ジョティ・バンサル(Photo by Kimberly White/Getty Images for TechCrunch)

1社目での経験を出発点にして、ソフトウエアの検証工程をAIで自動化

2社目にあたるHarnessの起業は、1社目のAppDynamicsでの経験が出発点となった。「AppDynamicsで私が向き合っていたのは、ソフトウエアをリリースした後に不具合や障害が発生した際、それをいかに解決するかという課題だった」とバンサルは語る。「多くの人は、コードを書くことが仕事の最初の30%にすぎないことをあまり意識していない。その後には、残り70%として、そのコードが正しく機能するかを検証する作業がある」。

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AIによるコード生成量が増えれば、人間がすべてテストするのは不可能

Harnessは、コードが安全で、かつ各国・各地域の規制に準拠しているかを確認するという、これまで人手に頼ってきた作業を、AIエージェントによって自動化している。ソフトウエアを出荷する際に必要となるテスト、最適化、セキュリティ確保といった工程を細かく分解し、それぞれの段階をAIで自動化するのが同社のアプローチだ。

バンサルはこの技術を、作業者の身を守る「安全ハーネス」にたとえる。Harnessは、ユナイテッド航空やシティなどの企業にソフトウエア提供・配備ツールを販売し、エンジニアがテストやデプロイに費やす負担を軽減している。

「世界に1兆ドル(約157兆円)分の効率化をもたらせば、人々はその節約額の少なくとも10%は喜んで支払う」とバンサルは言う。同社の規模はまだ1兆ドル(約157兆円)には届かず、これまでに生み出してきた売上は2億5000万ドル(約393億円)程度だ。しかし、生成AIの普及によって、Harnessのサービスは一段と不可欠な存在になりつつある。

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「AIがコードを書くようになれば、コードの量は10倍近くに増える。そうなると、それをすべて人間がテストするのは不可能になる」とバンサルは指摘する。

主力事業に加え、サイバーセキュリティなどの関連製品も展開

Harnessの売上の大半は、継続的デリバリー分野の主力ソフトウエア事業から生まれているが、同社はそれ以外にも16の関連製品を展開している。その1つが、サイバーセキュリティ企業のTraceableだ。これはバンサルが別途創業し、その後Harnessと統合した企業で、インターフェースシステムを通じたハッカーによるコードへの攻撃を防ぐ技術を提供している。

「彼はそれを“スタートアップの中のスタートアップ”と呼んでいる」と語るのは、カリフォルニア州メンロパークに拠点を置くインスティテューショナル・ベンチャー・パートナーズ(IVP)のパートナー、スティーブ・ハリックだ。同社は、DiscordやKlarna、Slackなどに加え、バンサルの3つの事業すべてに出資してきた。「2017年に彼がHarnessを売り込みに来たとき、提案したのは継続的なソフトウエアデリバリーだけではなかった。今後5年から7年で展開する複数のモジュールを含むロードマップを示してきた」。

10年かけて売上を約1570億円規模に伸ばす、野心的な計画を実行中

ハリックはこう続ける。「これは非常に野心的な会社の作り方だ。でも最初の面談で、彼は10年かけて売上を10億ドル(約1570億円)規模に伸ばす道筋を示し、『それをやる』と言った。いま振り返ると、彼はその計画どおりに進んでいると言っていい」。

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翻訳=上田裕資

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