今回のシリーズCのラウンドにはウォールディズニー・カンパニーが参加。また、チャイナメディアキャピタル、TPG Growth、Participant Media、さらにハリウッドのタレントエージェンシーであるCreative Artists Agencyが支援するEvolution Media Capitalも参加している。また、Google VenturesやRedpoint Ventures、Highland Capitalなどの既存の出資元も名を連ねた。
今回のラウンドによりJauntの総資金調達額は1億ドル(約120億円)を越えた。
JauntはVRコンテンツの製作(同社は“シネマティック VR”と名づけている)を支援する企業。ゲーム以外の分野で、映像のプロ向けに様々な製品を販売している。
カリフォルニア州パロアルトを拠点とする同社は、360度の撮影用に複数のレンズを持つカメラ製品を開発。一台の価格は数万ドルを超える。同社はまた複数のカメラからの情報を1つの特別なファイルに繋ぎ合わせるソフトウェアも開発している。このファイルはVRヘッドセットやスマートフォンで視聴可能だ。
JauntのVRコンテンツ作成事業には複数のパートナーがいる。直近ではABCニュースと共同で、シリアのダマスカスで撮影を行った。同社はロサンゼルスに撮影スタジオも持っており、このスタジオは元ルーカスフィルムCTOで、Digital Domain社のCEOであるクリフ・プラマーにより運営されている。
6500万ドルの資金調達により、Jauntは本社とロサンゼルスのスタジオを拡張する予定だ。しかし、今回のラウンドは戦略的提携の意味合いが強く「特にディズニーとの提携に重点を置いている」とJauntの共同創業者でありCEOのジェンス・クリステンセンは述べた。
クリステンセンは「アニメから始まったディズニーの歴史を見れば、彼らがテクノロジーの最前線を歩んできたことが分かる。彼らは常により強く、より没入感のある映像体験を求めてきた。ディズニーはVRが娯楽映像の次世代を担うと考えている」と述べた。
アクションカメラメーカーのGoProも最近、360度の動画撮影が可能な製品を開発した。16台のGoProカメラを連結したOdysseyだ。この製品の発表にあたり、GoProはGoogleと提携し、撮影した映像をYouTubeで公開できるようにした。
しかし、GoProの狙いはこの機器がYouTubeのようなCGM(一般ユーザーが作成するコンテンツ)分野で利用されることではない。GoPro社長のトニー・ベイツはフォーブスの取材に対し、「我々は映像のプロたちにOdysseyを使ってもらいたいと考えている。既に映画製作者らもこの製品に興味を持っている」と語っていた。Odysseyの初期バージョンは1万5000ドル(約180万円)という高額で販売されている。
しかし、「GoProの進む方向はやはり、YouTubeのようなCGM分野だろう」とJaunt 社CEOのクリステンセンは予測する。
「現在の動画ストリーミング業界は2つの領域に分かれている。HuluやHBOのようなハイエンド側の企業と、CGMコンテンツに特化したYouTubeのような企業だ。VRの領域でも今後、同様な棲み分けが起こると見ている。Jauntが進む道は、ハイエンドの分野だ」とクリステンセンは語った。