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2025.12.26 13:00

OpenAIは、なぜGPT-5の「温かみ」を制御するのか? 収益性と安全性のジレンマ

Photo illustration by Cheng Xin/Getty Images

#Keep4oのグループは「介助動物」の交換に等しいと主張

#Keep4oのグループは9月、OpenAIが法人登記されているデラウェア州の司法長官宛てに書簡を送った。今回初めて公になったこの書簡で同グループは、OpenAIが「自社の利益と公共の利益のバランスを取る」という自らの責務に違反していると主張した。その当時、同社は公益法人(PBC)への移行を進めている最中だった。

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この書簡で#Keep4oは、ChatGPTが、自閉症やADHDなどの特性を持つ人々にとって、「予測可能な応答パターン」と自己調整を助ける能力を備えた「アクセシビリティツール」として使われていると主張した。「この文脈において、利用者とモデルとの関係性の安定こそが、アクセシビリティの中核的な機能である」とも述べていた。その上で、「たとえ技術的には『より優れた』モデルであったとしても、確立された支援システムを断ち切ることは、あたかも介助動物を無理やり取り替えることにも等しく、直接的かつ測定可能な害をもたらす」と記した。

マギル大学を最近卒業したスヴェータ・シューは、AIの助けを借りてこの請願を執筆したという(ただし、彼女はChatGPTではなく、より多くの情報を1度に扱える「コンテキストウィンドウ」の利便性を理由に、グーグルの生成AI「Gemini」を使ったという)。

「GPT-4oは、多くの人にとって日常生活そのものを支えている存在だ。だからこそ、これを奪うことは、弱い立場にある人たちに実害を与える」とシューは語る。彼女によると、デラウェア州司法長官のキャシー・ジェニングスから返答はなかったという。ジェニングスの事務所は、フォーブスのコメント要請に応じなかった。なお、OpenAIはその後、PBCへの移行を完了した。

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95%が「適切な代替案なし」と回答

今週初め、OpenAIがGPT-4oの停止方針を撤回してから数カ月が経ったタイミングで、#Keep4oは、GPT-4oを失うことがもたらす影響について行った小規模調査の結果をフォーブスに開示した。この調査は645人を対象に実施されたもので、このうち約360人が、不安障害やうつ病、PTSD、自閉スペクトラム症など何らかの障害や症状を抱えていると回答していた。

その結果、GPT-4oの代わりに別のモデルを試した回答者のうち、95%が「十分に代替できる解決策を見つけられなかった」と答えた。65%が、GPT-4oは自分の障害や症状を管理するうえで「重要」もしくは「不可欠」な存在だと回答している。

自閉症を持つある利用者は、フォーブスに対し、GPT-4oの存在を「24時間365日のサポートのようなものだ」と表現した。「理解するのが難しい状況に直面したときでも、GPT-4oはいつも私を落ち着かせ、論理的に納得できる説明を与えてくれる」とその利用者は語った。弁護士として働くこの人物は、神経多様性を持つ人々に対する差別を恐れ、匿名での取材を求めた。「このツールは、人との感情的なやり取りの仕方を教えてくれる。社会の中に自分をつなぎ留めてくれて、常に心を落ち着かせてくれる」。

車いす利用者の「スロープ」が消える感覚

この利用者にとって、GPT-4oを失うかもしれないという不安は、耐え難いものだった。「まるで、誰かに眼鏡を取り上げると言われたような気分だった。あるいは、車いす利用者に『すべてのスロープがなくなった』と告げるのに近いかもしれない」とその人物は語った。

「もちろん、GPT-4oがなくても生きていける。実際、GPT-4oが登場する前も何とかやってきたから。でも、なぜこれを無くす必要があるのだろう。よりよい生活を送るためのツールがあるのに、なぜそれを無理に奪われなければならないのか」とこの利用者は問いかける。

GPT-4oの存続を求めて活動する人々の数は、ChatGPTの総利用者数8億人と比べれば少数だが、その声は十分に大きく、すでにOpenAIのCEOのサム・アルトマンの耳にも届いていた。GPT-5の公開時には、掲示板レディットのユーザーが、「GPT-5は、死んだ友人の皮をかぶっているようだ」と書き込んだ。これに対し、アルトマンは「なんとも強烈なイメージだ」と応じ、その日のうちに、GPT-4oを停止しない方針を明らかにした。

次ページ > OpenAIの対応策と専門家が指摘する「ビジネスの思惑」

翻訳=上田裕資

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