経済

2025.12.23 13:30

「ラブブ」ブームに陰り、株価下落で創業者の資産が4割減

Lindsey Nicholson/UCG/Universal Images Group via Getty Images

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8月、世界的なラブブブームにより中国の玩具王ワン・ニンは、同国の著名なアリババ共同創業者ジャック・マーよりも裕福になった。しかし、ここ数カ月でこの38歳の資産10億ドル(約1580億円)を超える富豪(ビリオネア)は、かつて275億ドル(約4兆3180億円)あった資産のうち113億ドル(約1兆7740億円)を失った。尖った耳といたずらっぽい笑顔を持つウサギのような人形が、単なる一時的な流行に過ぎないのではないかという懸念が広がっているためだ。

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ポップマート・インターナショナル・グループの会長兼CEOであるワンは、フォーブスの推計で162億ドル(約2兆5430億円)の資産を保有しており、その大部分は香港市場上場の玩具メーカーの持分によるものだ。ポップマートの株価は、8月のピーク時の339.80香港ドルから約40%下落し、約200香港ドルとなっている。これにより、世界第2位の経済大国における富豪ランキングで、アリババのマーが再びワンを上回った。

そして、新年はポップマートに大きな課題をもたらす可能性がある。売上高の伸びは、2025年の推定200%増に比べ、わずか30%増にとどまる可能性があると、調査会社モーニングスターで香港を拠点とする株式アナリスト、ジェフ・チャンはメールで述べている。今年の高いベース効果も一因だが、大中華圏(中国に香港、台湾、シンガポールを含めた地域)における需要の弱まりと、ラブブの価格が二次市場で下落する中、海外市場における成長鈍化をチャンは指摘している。

例えば、中国の転売プラットフォーム「Dewu」では、最新のラブブ(様々な色の小型ぬいぐるみ28種類を特徴とする4.0シリーズ)の取引価格は、8月下旬の発売以来30%下落し、1体あたり約115元(約 2580円)となっている。転売価格は依然として公式価格の79元(約1770円)を上回っているものの、一部のコレクターは、以前に買いだめしたラブブをオンラインで転売することで、より多くの利益を得たいと考えていたため、手を引いている。

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ポップマートの広報担当者は、同社の株価についてのコメントを控えたが、同社のファンダメンタルズと成長の可能性を強調した。上半期、ポップマートは売上高が前年同期比3倍の139億元(約3090億円)に達し、利益は5倍の46億元(約1020億円)に急増したと報告した。ワンは、ポップマートが2025年に「容易に」300億元(約6670億円)の売上高に達する可能性があると予測している

来年の売上成長の鈍化が予想される理由の一部は、ポップマートの戦略にあると、上海を拠点とする市場調査会社チャイナ・スキニーのマネージング・ディレクター、マーク・タナーはWeChatのメッセージで述べている。

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