12月中旬時点で、S&P500種株価指数は年初来で約16%上昇しており、2025年は投資家にとって好調な年となった。ウォール街は、2026年にも同様の展開が再現されるとは見ていないものの、その最初の6カ月については楽観的であり、S&P500は通年で11%上昇すると予測している。
インフレ率が連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%を上回る一方、労働市場が不安定であることから、2026年にも利下げが実施されることが見込まれている。企業業績の拡大が株価を押し上げると予想されているほか、エージェンティックAIが主流となりつつある中で、AIへの資本流入が成長をけん引するとみられている。特に、AIデータセンターの建設企業や、それを稼働させるのに必要なエネルギーの供給事業者が恩恵を受けるとされる。
マクロ経済環境:インフレと金利
インフレ率が依然として2%を上回り、各種経済データが十分なタイミングで提供されていない状況にもかかわらず、FRBは緩和方向に傾き、冷え込みつつある労働市場を支援するため、ここ数カ月で利下げを実施してきた。
2026年にも利下げが見込まれているが、一部のアナリストは、輸入品に対する関税が課され、供給業者がそのコストを消費者に転嫁しているにもかかわらず、インフレ率は低下すると予測している。
現在のFRBの姿勢
FRBは12月10日、フェデラルファンド金利の誘導目標を3.5%から3.75%の範囲に引き下げ、インフレ抑制から雇用の支援へとその軸足を移した。
モーニングスターによれば、投資家は当時、この利下げが実施される確率を87%と見込んでおり、この動きはおおむね予想通りとされていた。利下げの理由は、労働市場を守るための「保険」である。関税によるコスト上昇と、より少ない人数で多くの業務をこなせるAIの普及の組み合わせが労働市場の弱さを生む最大の要因であり、高金利そのものではない可能性が高い。
今回のFRBによる決定においては、2つの大きな驚きがあった。
1つ目は、FRBの理事3人が反対票を投じ、2人は利下げに反対し、1人はより大幅な利下げを求めていた点である。
2つ目は、当面は利下げを打ち止めにする可能性が高いと示唆したことであり、ウォール・ストリート・ジャーナルはこれを意外な動きと伝えている。ただし、ジェローム・パウエルFRB議長の任期は2026年5月に終了する予定であり、後任はインフレ下でも利下げを推進する人物が任命される可能性が高いため、このFRBの姿勢は短命に終わる可能性もある。



