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2025.12.25 13:00

デュアルOSでスマホを守る、スイス政府とデジタル主権を目指す「ソヴァーリ」とは

Shutterstock.com

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スマートフォンセキュリティの革新に挑むスイス発のスタートアップ「ソヴァーリ(Soverli)」は12月15日、プレシードラウンドで260万ドル(約4億円)を調達した。チューリッヒに本拠を置く同社は、2026年の本格成長を見据え、スイス政府を含む複数の顧客と実証実験を進めている。

ソヴァーリが取り組むのは、深刻化するスマートフォンのセキュリティ脆弱性という課題だ。最近、グーグルとアップルはスパイウェアを用いたハッキングの試みを検知し、150ヵ国以上のユーザーに警告を発した。さらに先月には、フランスの国家サイバーセキュリティ機関が、スマートフォンがサイバー攻撃者にとって主要な標的となっているとして警鐘を鳴らしている。今年に入ってからも攻撃は後を絶たず、セキュリティ企業カスペルスキーによれば、スマートフォンへのマルウェア侵入件数は前年比で27%増加したという。

スマートフォン上のデータを安全に管理したいユーザーにとって、これは看過できない問題だ。とりわけ業務でスマートフォンを利用している場合、壊滅的な事態を招く可能性がある。特に機密情報を扱う企業や、市民向けのサービス提供と保護を担う公共機関の職員にとって、そのリスクは一層高まる。

「スマートフォンは、今やほぼ全ての人の日常生活の中核を担い、政府機関や緊急サービス、重要産業までもが依存している。その一方で、AndroidやiOSは内部構造が把握できないブラックボックス状態にある」と、ソヴァーリの共同創業者兼CEO(最高経営責任者)、イヴァン・プドゥは指摘する。ユーザーは自らの端末のOSを制御できず、内部の動作を把握できないため、セキュリティ面でOS提供者に依存せざるを得ないのだ。

ソヴァーリは、スマートフォン上で二つの異なるOSを同時に稼働させるソリューションを開発した。普段使うiOSやAndroidなどの既存OSは従来通り機能する一方、ユーザーはより堅牢でセキュアに設計された別のOSに切り替えることができる。ソヴァーリは標準のセキュアOSを提供するが、企業は独自のカスタムOSを構築することもできる。

操作は簡単だ。友人へのメッセージ送信やスポーツのスコア確認など、日常的な用途では従来通りスマートフォンを使用する。一方で、業務や機密性の高い作業では、ホーム画面のボタンを押すだけでより安全なOSに切り替えられる。ソヴァーリが実施したデモでは、Android OSが侵害された場合、人気メッセージアプリ「Signal」のユーザーも攻撃にさらされる可能性が示されたが、セキュアOS上ではメッセージの内容は安全に保たれていた。

プドゥは、この技術がミッションクリティカルなシステムを守りたい政府機関や、データ漏洩を懸念する企業など、幅広い組織に大きな価値を提供すると考えている。また、敵対的国家勢力から標的にされやすいジャーナリストや人権活動家も、顧客となり得る。

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編集=朝香実

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