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2026.01.01 10:15

『敬天愛人』の地が今、宇宙にフルベットする理由——空を見上げ続けてきた鹿児島の宇宙観

鹿児島には、60年もの長きにわたってロケットの打ち上げを見上げてきた歴史がある。その「宇宙に一番近い県」が今、単なる地の利だけでなく、県民の根強い「宇宙マインド」を産業へと転換しようとしている。西郷隆盛の思想と宇宙飛行士の心理変化が符合する地で県の責任者に行政戦略を聞き、鹿児島ならではの「宇宙観」の深層に迫る。


宇宙観(プラネタリー・イマジネーション)という言葉がある。

自然観や人生観なら練り上げたものがある——。そのように自負する人であっても、宇宙観までを強く胸に抱いている人は少ないのではないだろうか。

しかし、鹿児島は少し事情が違うようだ。老若男女の全層にとって、宇宙は身近に「観じる」ものとして存在してきた。

宇宙にもっとも近い県のキーマンを直撃

2025年10月16日には、鹿児島市内のカクイックス交流センターで「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」が開催された。このキャラバンは、九州・山口地域における宇宙産業振興の機運を高め、新しいプレーヤーの発掘・育成、宇宙開発および利用の裾野拡大を目指して、23年から開催されている産学官金連携のプロジェクトである。23年の福岡市、24年の北九州市に続いて、25年の鹿児島市が3度目の開催となった。そのハイライトは、『「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」で宇宙革命の本質について考える』と題した記事(【前編】【中編】【後編】)にてレポートしている。

キャラバンには九州地域はもちろんのこと、日本全国から多様なビジネスプレイヤー、政府、自治体、金融、アカデミア、マスコミ関係者など数多くの参加者が来場・登壇していた。鹿児島県商工労働水産部の部長・北村貴志もその一人だ。県の宇宙産業振興策を統括するキーマンである彼は、「宇宙港(スペースポート)の現在地と未来」というタイトルのセッションに登壇していた。

本稿は、キャラバンの翌日に鹿児島県庁にて行った北村部長へのインタビューをまとめたものである。


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text & edited by Kiyoto Kuniryo | photographs by Yuka Kariya(Photo House KOUKI)

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