——県内にふたつの射場があるという「地の利」が、県民の宇宙マインドの高さという「人の利」にまでつながっているのですね。そのようにして鹿児島県民の宇宙への関心・意識・意志が醸成されていった結果、「よし、自分も宇宙にチャレンジするぞ!」という人材が生まれてくるのも当然の流れではないかと感じます。そうした「地の利」と「人の利」を生かすための宇宙産業振興に向けた働きかけとしては、どのようなことが行われているのでしょうか。
北村:現在、鹿児島では種子島や内之浦に事業拠点を構える県外企業も含めて、「(ハードウエアや設備を)つくる」「(ロケットや衛星を宇宙に)はこぶ」「(衛星から得られたデータを)つかう」というそれぞれの分野でプレイヤーが活動しているところです。県内の民間企業による宇宙ビジネスは始まったばかりであり、これから県内企業で関心のある層を掘り起こすとともに、意欲のある県外の宇宙産業プレイヤーにも参画を促していきたいと考えています。そのため、2022年に企業や関係市町村、鹿児島大学を始めとする大学などで構成される「鹿児島県宇宙ビジネス創出推進研究会」を立ち上げて、宇宙関連産業の発展に向けた将来像を描き、そこに向かっての緩やかなロードマップを策定しました。県内企業に対しては、宇宙ビジネスの裾野拡大や参入への機運醸成、経験・技術力の蓄積を図ってきました。2030年代に向けて県外企業とも手を携えながら、宇宙関連のプロジェクトを創生していきたいと考えています。その後、2040年代には宇宙が県の産業として広く定着している姿を目指しているところです。
——宇宙産業の「つくる」「はこぶ」「つかう」のなかで、県内にふたつの射場を有する鹿児島には「つくる」と「はこぶ」においてアドバンテージがあることは理解できます。最後の「つかう」については、どうでしょうか。
北村:鹿児島県には島嶼部(とうしょぶ)を含めて南北600キロメートルの広がりがあります。広大なフィールドのなかで農林水産業が盛んなので、様々な衛星データを利活用できるポテンシャルは非常に高いと考えています。例えば、これまでの実証事業において、「海水温や海流を可視化しながら過去のデータに基づいて養殖漁業者に向けて赤潮予報の情報を提供していく取り組み」がなされました。24年に鹿児島県では赤潮で1億円以上の被害が出ています。この赤潮に立ち向かうために有用なのが衛星データであり、実用化に向けてチャレンジしていきたいと思っています。今後、衛星データの利活用において「鹿児島モデル」を先行的に生み出し、全国やアジアなどの海外にまで展開していきたいですね。


