宇宙産業の「つくる」「はこぶ」「つかう」のすべてに注力
——「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」では、宇宙飛行士の若田光一さんから「鹿児島は日本で一番宇宙に近い県」という発言がありました。そこで、県の宇宙産業振興行政の責任者である北村部長にあらためてお聞きします。「鹿児島が日本で一番宇宙に近い」と言えるのは、どのような理由からでしょうか。
北村:鹿児島には、種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所にロケットの打ち上げ施設があります。日本のなかで県内にふたつのロケット打ち上げ施設を有するのは鹿児島だけです。だから、「宇宙に一番近い」と表現できるのだと思います。この「地の利」が鹿児島の強みであり、県が宇宙産業振興に注力する根拠にもなっています。
——キャラバンには北村さんも登壇して、「県内のふたつの射場の民間利用」というフレーズを語っていました。
北村:そうですね。種子島宇宙センターには、日本の基幹ロケット(H-IIA、H3など)の打ち上げを一手に担うアジア最大級のロケット射場があります。内之浦宇宙空間観測所の射場は、主に観測・研究目的の射場となっています。そのどちらもJAXA(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)が所有・運営しています。民間企業のなかには、こうした射場を(自分たちのプロジェクトの)打ち上げに活用したいといった声も聞かれます。鹿児島県では、これらの射場の民間開放について2021年から相談を続けているところです。信頼関係を構築しながら、段階を踏んで連携を深めていくことが大事であり、JAXAや関係省庁、民間企業とも話し合いをしながら取り組んでいます。
——県内のふたつの射場がより一層利用されていくことになれば、県民の意識はさらに高まり、宇宙産業の振興もさらに加速していくのでしょう。
北村:実は種子島宇宙センターと内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられたロケットが宇宙に向けて飛んでいく様子は、この鹿児島市(2025年4月1日時点で人口58万8583人)からでも目視できます。現在までに鹿児島から打ち上げられたロケットの数は、通算で600機にもなります。鹿児島では1960年代から実に多くの人間がロケットを見上げてきた歴史があります。そして、「ロケットの打ち上げや、そのためにチャレンジする人々を応援する」といった県民感情が長年をかけて醸成されてきたと言えるでしょう。この「県民を挙げて宇宙への挑戦を応援するという土壌」も他の県にはない鹿児島ならではのものだと考えています。


