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2026.01.01 10:15

「今こそ、『宇宙革命』の本質について考えてみたい」ー「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」レポート【後編】ー

若田光一が語る「New Space」の最前線

「私は24年の4月からアクシオムスペース社で、引き続き現役の宇宙飛行士、そして技術責任者を担当しています。特にアジア・太平洋地域でのビジネス開拓、資金調達、民間宇宙ステーションの開発、月面着陸用の宇宙服の開発といった仕事を行っています。

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2020年代に入り、これまで各国の政府主導で進んできた有人宇宙活動において民間によるものが活発になっています。今後、持続的な有人宇宙活動の鍵となるのが、民間主導による有人宇宙活動の推進です。特に30年に予定されている国際宇宙ステーション(ISS)の退役後、民間主導の宇宙開発が鍵になっていきます。2040年代にはアポロ計画のような一過性ではない持続的な形での月面有人滞在、そして火星有人探査が進んでいくでしょう。そのなかで、日本の果たす役割が大きくなっていくと思っています。

27年以降、若田光一がCTOを務めるアクシオムスペース社は段階的にモジュールを打ち上げ、ドッキングさせていき、「民間主導による人類初の有人宇宙活動の拠点」を築こうとしている
27年以降、若田光一がCTOを務めるアクシオムスペース社は段階的にモジュールを打ち上げ、ドッキングさせていき、「民間主導による人類初の有人宇宙活動の拠点」を築こうとしている

今、アクシオムスペースでは新たな宇宙実験の拠点となる民間宇宙ステーションを開発中です。最初はPPTM(Payload Power Thermal Module)と呼ばれるモジュールが27年以降に打ち上げられ、現在のISSにドッキングします。ISSにあるさまざまな実験装置などが、このPPTMに移送されます。その後、ISSと切り離されたPPTMにドッキングするのが、2番めに打ち上げられる居住棟です。現在、PPTMやひとつめ、ふたつめの居住棟といった構造体の製作が順調に進んでいます。この新たな宇宙ステーションで研究、製造、技術実証が拡大していくことにより、世界に大きな経済的・社会的価値がもたらされると想定しています。これまでのISSでの経験を踏まえて考えると、半導体の製造や創薬、3Dプリンティングで人工臓器をつくるといったことが、微少重力環境の利点を生かしたインスペース・マニュファクチャリング(宇宙製造)において有力候補になると考えています。

若田光一は、有人月面着陸を目指したNASAのミッション「アルテミスIII」で着用される宇宙服の開発にも関与
若田光一は、有人月面着陸を目指したNASAのミッション「アルテミスIII」で着用される宇宙服の開発にも関与

また現在、アクシオムスペースでは月、それから地球低軌道での船外活動用に新しい宇宙服をつくっています。26年9月以降、NASAのアルテミスIIIというミッションで新しい時代の有人月面着陸が実施される予定ですが、その際にも使われる宇宙服となります。25年5月には、この新しい宇宙服をプールのなかで試験するという機会があり、私がはじめての有人潜水を担当しました。

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text & edited by Kiyoto Kuniryo | photographs by Yuka Kariya(Photo House KOUKI)| images by https://www.youtube.com/watch?v=0HbLs3LvBi4

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