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2026.01.01 10:15

「九州発・ものづくりが切り拓く『宇宙応用』最前線」ー「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」レポート【中編】ー

2025年10月、鹿児島に集結したのは、宇宙革命の参加者たちだ。宇宙飛行士として数々のミッションをクリアしてきた若田光一をはじめ、民間主導で宇宙のフロンティアを開拓しようとする者たちである。このキャラバンを足がかりに【前編】【中編】【後編】の3部構成で宇宙革命の本質について考えていきたい。

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「九州ものづくりの強みと世界を目指した次の一手」について

「宇宙産業」は、私たちの生活のなかでどのように役立つのか。「宇宙で稼働するものをつくるということ」には、どのような意味や意義があり得るのか。

まだ宇宙産業にジョインしていない非宇宙産業の従事者のなかには、上記のような「?」が頭上に大きく点灯している人もいるだろう。そうした根本的・本質的な疑問に対し、自らのブレイクスルーで答えを示している企業が九州には存在する。

それが、「九州ものづくりの強みと世界を目指した次の一手」と題したセッションでモデレーターを務めた大西俊輔が代表取締役社長CEOに就いているQPS研究所(福岡県福岡市)だ。

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同社は従来のSAR衛星の20分の1の質量、100分の1のコストで「高精細小型SAR衛星」の開発に成功し、「宇宙からの地球の可視化」における歴史的な転換点を築いた。この技術的ブレイクスルーのインパクトを端的に表現するなら、「『スーパーコンピューターがスマホになった』に匹敵するほどの革命であり、宇宙産業のビジネスモデルが根底から覆されるパラダイムシフトが起きた」と言えるだろう。

従来のSAR衛星は、1機が数百億円もする国家プロジェクト級の超高級品だった。これが高性能かつ安価になったことにより、多数の衛星を打ち上げ、連携させて、リアルタイムで地球を観測していくコンステレーション構想が可能になった。QPS研究所が開発・運用している衛星は現在、「災害時の状況把握」や「インフラ監視・防災システムの実証」といった分野で利用されている。例えば、「令和6年能登半島地震」では発災当日から内閣府、国土地理院、国土交通省などに順次、観測データを提供している。

上記の「?」に答えるなら、「この国で生きる人々の暮らしと命を守っている」のだ。しかも、それはQPS研究所が単独で行っているのではない。今、QPS研究所は衛星をつくるために北部九州を中心とした25社以上の企業によるサプライチェーンを構築している。そのなかには、自動車用シートの縫製などを行う非宇宙産業の中小企業も参加。サプライチェーンのなかで、それぞれが強みを発揮しながら共同開発を行っている。そうした共創のネットワークが九州には構築されているのだ。

下記は、「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」のセッション「九州ものづくりの強みと世界を目指した次の一手」に登壇したメンバーの発言要旨(筆者による加筆・補足説明あり)である。

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text & edited by Kiyoto Kuniryo | photographs by Yuka Kariya(Photo House KOUKI)| images by https://www.youtube.com/watch?v=0HbLs3LvBi4

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