ビジネス

2026.01.01 10:15

「日本の宇宙開発の基点『宇宙港』の在り方」ー「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」レポート【前編】ー

2025年10月、鹿児島に集結したのは、宇宙革命の参加者たちだ。宇宙飛行士として数々のミッションをクリアしてきた若田光一をはじめ、民間主導で宇宙のフロンティアを開拓しようとする者たちである。このキャラバンを足がかりに【前編】【中編】【後編】の3部構成で宇宙革命の本質について考えていきたい。

advertisement

革命とは「新たな自由の創設」だ。

人類はこれまでに農業革命、産業革命、情報革命という3大革命を享受してきた。そして今、これまでの革命と並び称される、あるいはそれらを凌ぐ自由をもたらすとも評される第4の革命が加速している。

それが、「宇宙革命」である。

advertisement

2025年10月16日、九州の鹿児島に宇宙革命の参加者たち、すなわち「新たな自由の創設者たち」が集まっていた。

「宇宙革命の前提と実態」とは

鹿児島市内のカクイックス交流センターで開催されたのは、「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」だ。このキャラバンは、九州・山口地域における宇宙産業振興の機運を高め、新しいプレーヤーの発掘・育成や宇宙開発・利用の裾野拡大を目指して、23年から毎年開催されている産学官金連携のプロジェクトである。23年の福岡市、24年の北九州市に続いて、今回の鹿児島市が3度目の開催となった。

その具体的なレポートに入る前に、九州・山口地域における宇宙産業振興の機運を高め、新しいプレーヤーの発掘・育成や宇宙開発・利用の裾野拡大を目指す背景にあるもの、すなわち「宇宙革命の前提と実態」を読者と共有しておきたい。

1957年にソ連が世界初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げて以来、かつての宇宙開発は冷戦構造を基底に国家の威信をかけて行われるものだった。宇宙にリーチするためのコストは莫大で、技術難度は雲上のレベルにあった。

しかし、今、宇宙開発は国家に加えて民間も台頭し、「New Space」と称される時代が訪れている。これにより、数十兆規模の新たな経済圏(宇宙経済圏)が急速に立ち上がりつつある。産業革命が蒸気機関と工場を生み出し、情報革命がインターネットとデジタル経済を生み出したのと同様に、まったく新しい富の源泉や生産様式、さらには生活様式が生み出されようとしているのだ。

イーロン・マスクが率いるSpaceXの再利用可能ロケットが示したように、現在では宇宙へのアクセスコストが従来と比較して劇的に低下している。この低コスト化が、多様で新しい商業活動(ロケット打ち上げ関連の機器製造、衛星関連の機器製造、衛星を利活用したデータビジネス、宇宙観光など)を経済的に成立させる基盤となった。20年に世界で打ち上げられたロケットの数は「114」だったが、24年には「254」にまで伸びている。革命の熱気は、この数字にも現れている。今、経済のフロンティアは、文字どおり宇宙にまで拡大しているのだ。また、未来展望において、宇宙は住宅地、採掘地、各種の産業集積地になる可能性を有する。

「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」の主催は、一般社団法人九州みらい共創に加えて今回の開催地である鹿児島県だ。後援には内閣府宇宙開発戦略推進事務局、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、鹿児島県市長会、鹿児島県町村会、公益社団法人日本青年会議所九州地区鹿児島ブロック協議会が名を連ねている。国や公的機関から開催地域の町村や青年に至るまで、国を横断した多層的なエコシステムメンバーが手を携えて、このプロジェクトを支えている。

当日は宇宙産業から非宇宙産業までの多様なビジネスプレイヤー、政府、自治体、金融、アカデミア、マスコミ関係者など数多くの参加者が九州地域はもちろんのこと日本全国から来場・登壇し、3つのキーノートスピーチ、5つのセッション、各アクティビティレポート、各スポンサープレゼンテーションが行われた。

そのなかから、本稿(前編)では「宇宙港(スペースポート)の現在地と未来」と題されたセッションの模様をレポートする。

次ページ > 「宇宙港(スペースポート)の現在地と未来」について

text & edited by Kiyoto Kuniryo | images by https://www.youtube.com/watch?v=0HbLs3LvBi4

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事