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2026.01.01 10:15

「日本の宇宙開発の基点『宇宙港』の在り方」ー「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」レポート【前編】ー

千葉工業大学 工学部 宇宙・半導体工学科教授(ロケット推進工学の専門家)で、 固体燃料ロケットの推進薬を低いコストで簡単につくれるように開発しているロケットリンクテクノロジー 共同創業者の和田 豊
千葉工業大学 工学部 宇宙・半導体工学科教授(ロケット推進工学の専門家)で、 固体燃料ロケットの推進薬を低いコストで簡単につくれるように開発しているロケットリンクテクノロジー 共同創業者の和田 豊

「私は、学生時代から幾度も鹿児島を訪れてロケットの打ち上げに参加してきました。そのため、鹿児島に育てられてきたという想いがあります。また、現在の千葉工業大学では学生たちが自作の小型ロケットを肝付町の海岸から打ち上げるという教育プログラムを推進しています(24年に鹿児島県肝付町は和田が教授を務める千葉工業大学と宇宙産業の人材育成を目指す包括連携協定を締結)。25年5月には小型ハイブリッドロケットの打ち上げに成功しました。そうしたなかで得られた印象として『肝付町の方々はロケットの実験に対する理解が深い』と感じています。町ぐるみでチャレンジする人を応援しようという雰囲気が伝わってくるのです。スペースポートは、いろいろな人を巻き込むものになります。ロケットを打ち上げたいという人だけが頑張れば成功するものではないのです。今ある人たちの暮らしや産業とどのように共生していくのかという観点も含めて日本全国にあるスペースポートが切磋琢磨しながら、これから日本の宇宙産業の種が芽吹いていくことを期待しています」

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大分県 商工観光労働部 先端技術挑戦課 主幹(総括)の上野 剛
大分県 商工観光労働部 先端技術挑戦課 主幹(総括)の上野 剛

「大分県は米国シエラ・スペース社、兼松、日本航空、三菱UFJ銀行、東京海上日動火災保険との連携により、アジア初の『水平型宇宙港の実現』に向けた取り組みを進めています。シエラ・スペース社の宇宙飛行機『ドリームチェイサー』(26年の後半に初飛行を予定)が将来的に着陸する宇宙港として、国東市の大分空港を利用していただくプロジェクトです。鹿児島の種子島からH3ロケットに乗って宇宙に行った『ドリームチェイサー』が宇宙ステーションを経て大分空港に帰還するという経済循環を構想しています。(宇宙ステーションで各種の実験をするための材料や機器などを宇宙に運び、地球に帰還させる)マーケットとしては、日本だけでなくアジア全体を考えているところです。宇宙産業市場のなかでアジアのパイは非常に大きなものがある(※)と観ています」

※宇宙ビジネス分野で世界的にもっとも権威ある調査会社のひとつであるユーロコンサル社(現ノバスペース社)の『The Space Economy Report 2023』によると、22年の世界における宇宙関連市場全体の規模は約4640億ドル=当時のレートで約68兆円。そのなかでアジアの占める割合は18%。それが10年後の32年には22%にまで伸び、アジアが欧州を抜いて北米に次ぐ世界第2位の宇宙市場圏になると予測。

鹿児島県 商工労働水産部 部長の北村貴志
鹿児島県 商工労働水産部 部長の北村貴志

「千葉工業大学の和田先生がお話をされたとおり、鹿児島には『種子島宇宙センター』と『内之浦宇宙空間観測所』の2カ所にロケットの発射場があって、ロケットの打ち上げを応援する県民の意識が高いというのが強みです。未来の宇宙産業を担う人材育成にも力を入れていますし、これからもロケットの打ち上げにさまざまな人がチャレンジできる場としての鹿児島を育てていきたいと考えています。今後はロケットの打ち上げが高頻度化していくと考えられます。つまり、鹿児島にあるふたつの射場をいかに有効活用するかという視点が重要になります。国内のスペースポートとの機能分担を考えながら、また今後は県内のふたつの射場の民間利用についても段階的に考えていきながら、鹿児島県内の産業振興、そして九州地域、さらには日本の宇宙産業発展に向けて進んでいきたいと考えています」

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中編に続く)

text & edited by Kiyoto Kuniryo | images by https://www.youtube.com/watch?v=0HbLs3LvBi4

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