科学者が「タコの知性」の話をする時、その言葉は畏敬の念を帯びるのが常だ。その理由は明白だ。頭足類に属するこの生物は、進化において私たち人間とはまったく異なる系統に属する。系統樹では5億年以上前に分岐し、その後は別々の道を歩んできたにもかかわらず、タコは不気味なまでに人間に近い行動や認知能力を持っている。
以下に紹介するのは、タコが驚異的な知性の持ち主であることを示す、科学的研究の裏付けのある5つの発見だ。以下を見れば、この生物が、科学者たちが「知性」の定義を考え直すきっかけになっている理由がわかるだろう。
1. 複数のステップが必要なパズルを解く
タコの認知能力のエビデンスとして、最も際立った事例の一つが、タコに課題を解かせる実験だ。『PLOS One』に掲載された研究では、チチュウカイマダコ(学名:Octopus vulgaris)の個体7匹に、箱型のパズルを与えた。このパズルは複数の部品からなり、箱を開けて報酬を得るためには、それぞれの部品を正しい方向に操作する必要がある。
結果として、7匹すべてがパズルを開けるのに成功しただけでなく、試行のたびに、開けるまでの時間が短くなったという。言い換えればこれらのタコは、パズルを解こうと試みるたびに、解決に至るテクニックを能動的に磨いていた、ということになる。
これだけでは特に感銘を受けない、という人も、研究チームがパズルのルールを変えた後の話を聞けば、きっと考えが変わるはずだ。タコは、それまで有効だった解決法に固執することはせずに(他の動物では、こちらの道を選択することが多い)、状況に合わせて戦略を変えたのだ。
新たなパズルを解き始める前に、タコは新たなパズルの設定を確かめたが、そのやり方は本当に思考しているように見えた。このように、丸暗記した記憶に頼らない「アプローチの柔軟性」は、高い認知能力があることを示す最も明白な証拠の一つだ。
2. 短期と長期、2種類の記憶を持つ
数十年にわたる頭足類の研究により、タコには驚くほど強力な学習および記憶システムがあることがわかっている。例えば、物体の違いを見分ける弁別課題の実験では、形や触感、色、さらには明るさのパターンについて、違いを見分ける方法をすぐに学び取った。
しかしさらに注目に値するのは、タコがこれらの異なる物体の違いを、トレーニングからかなり経っても覚えていることだ。属する種やタスクの内容にもよるが、タコは数週間後になっても、こうした記憶を保持していることがある。『Animal Cognition』に掲載された、マヤダコ(学名:Octopus maya)を用いた2023年の研究も、この点を裏付けている。



