北米

2025.12.27 14:00

「米国産のコメと生産者」を守れ、トランプに「関税引き上げ」を直談判した精米会社CEO

2025年12月8日、ワシントンD.C.のホワイトハウス内閣会議室で、ドナルド・トランプ米大統領と対話をする4Sisters RiceのCEOのメリル・ケネディ(Photo by Alex Wong/Getty Images)

関税による市場の再構築を求め、プエルトリコへの輸送コスト問題も訴え

ケネディは、市場がより公正な形で機能しなければ、状況は改善しないとみている。米の輸入関税の引き上げが、米国の米産業の立て直しにつながることを期待している。「競争条件を公平にすることが必要だ。それこそが生産者の求めているものだ」と彼女は語り、「市場を再構築し、米国の生産者に再投資しなければならない。そうすれば、支援を求め続ける必要はなくなる」と強調した。

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ケネディはまた、米国のコメ生産者の競争力を高めるには、研究開発への投資を拡充することも欠かせないと指摘する。大学への助成金を通じて、ジャスミンライスをはじめとする人気品種について、収量が高く、米国の土壌により適した品種を開発する研究を進める必要があると考えている。

中国の安値輸出とジョーンズ法が、有力だったプエルトリコ市場を阻む

ケネディは、プエルトリコ向けの輸送ルートを巡る制約を緩和することも、特に自身と取引のあるメキシコ湾岸地域のコメ生産者にとって大きな後押しになると指摘する。中国は2017年以降、本来の輸出価格を下回る水準で米国の輸入業者に米を供給し、米国市場の価格を押し下げてきたという。

「プエルトリコは、かつて私たちにとって最良の市場の1つだった。中国は何年にもわたってその市場にダンピングを行い、世界貿易機関(WTO)の協定や米国の反ダンピング法に違反してきたが、私たちは何もできずにきた」とケネディは語る。

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プエルトリコでは、ケネディの米を購入したいと考える企業やレストランがあっても、輸送コストの高騰によって価格競争力を失い、取引が成立しない状況が続いている。その背景にあるのが、島に入るすべての食品や物資を、米国籍の船舶で輸送することを義務づけるジョーンズ法だ。

この法では、米本土からプエルトリコなどの米国領に向けて出荷されるすべての食品や物資について、米国旗を掲げた船舶の使用が求められる。しかし、該当する船舶は非常に少なく、結果として輸送コストが大幅に跳ね上がっている。

また、かつてはニューオーリンズとプエルトリコの間で、米やその他の物資を5日ごとに運ぶ定期航路があったが、2017年に途絶えたという。現在プエルトリコに米を送るには、いったんフロリダに輸送し、そこから改めてプエルトリコへ向けて出荷する必要があり、コスト増につながっている。

「1度出荷を止めると、その航路は失われてしまう。私たちがその市場を失って以降、船自体がなくなった。商流を再び動かすには、十分な時間と、本気の取り組みが必要だ」とケネディは言う。

ホワイトハウスでの会合をきっかけに、4Sistersでは顧客の反応に変化が表れ始めており、来月には追加出荷を行う予定だ。ケネディはトランプにこう語っていた。「私は、大統領にも米を好きになってもらうつもりです。執務室にコーラのボタンを置くのではなく、米のボタンを置くことになります」。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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