アート

2025.12.25 11:15

キュレーターの目線で振り返る、5回目の「Art Collaboration Kyoto」

2025年 ACK 会場風景 Courtesy of ACK, photo by Moriya Yuki

ACKが特徴的なのは、アートをメイン会場の内部に閉じ込めるのではなく、京都という都市の文化的・建築的な風景と実質的な接点を結ぼうとしている点にもある。

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今年は、廣誠院でSadie Coles HQによるIsabella Ducrotの個展、曼殊院でKiang MalingueによるCarrie Yamaokaの日本初個展など、複数のスペシャル・エキシビションが歴史的建造物を舞台に開催された。古い建築と現代の作品が同じ空間で響き合うことで、鑑賞行為そのものが時間のレイヤーを行き来する運動のような体験となる。

廣誠院で開催されたIsabella Ducrotの個展(Isabella Ducrot. Courtesy the Artist and Sadie Coles HQ, London. Photo: Mitsuru Wakabayashi)
廣誠院で開催されたIsabella Ducrotの個展(Isabella Ducrot. Courtesy the Artist and Sadie Coles HQ, London. Photo: Mitsuru Wakabayashi)

こうした展示の数々は、一見すると単純だが、いまの状況に対してあらためて、大変切実なる問いを投げかけた。それは、絶えず変化を強いられる世界のなかで、アートはいかなる感覚のあり方をひらきうるのか、どのような理解や抵抗の可能性を私たちにもたらしうるのか、という問いである。ACKは展示とマーケットの枠を超え、時間・場所・文化とは何かという問いを再び私たちに向けてくる。

フェアの閉幕に際して、ACKは22年からディレクターを務めてきた山下有佳子が、26年3月をもって退任することを発表した。成長途上にあるアートフェアにとって、これは構造的な転換点であると同時に、新たな方向性がこれから立ち上がっていくことを意味している。京都に深く根ざしながら、同時に国際的な展開を続けてきたこのプロジェクトの未来は、いまもなお形つくられている途中にある。

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だからこそ、次回以降のACKに、いっそう大きな期待を寄せてしまうのかもしれない。それは、コラボレーションのあり方をさらに更新し、都市・歴史・同時代性のあいだに新たな接続を見出していくことへの期待だ。11月の京都というこの場所と時間に、誰が魅了されずにはいられないだろう。


金秋雨◎キュレーター、研究者。「non-syntax」主宰。1995年、上海生まれ。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科修了。主なキュレーションとして「Not In This Image」展(關渡美術館,台北)、「ゴジラ・THE・アート展」(森アーツセンターギャラリー)など。

取材・文=金秋雨 編集=鈴木奈央

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