Kyoto Meetingのセクションでは、ワルシャワのギャラリーRasterが異なるかたちで「ローカルに根ざす」アプローチを見せていた。ディレクターの話によれば、彼らはACKに参加するにあたり、京都で活動するアーティストやキュレーター、研究者に事前にコンタクトを取り、この都市の歴史的・文化的背景や創作のコンテクストを一から学ぶところからプロジェクトを始めたという。
今回出展されたのは、京都を拠点とする田中和人、ベルリンを拠点とするSławomir Elsner、ワルシャワを拠点とするJanek Simon。それぞれ異なる方法で「表象」の問題に取り組む3人だ。Rasterによるこの試みは、単に海外ギャラリーが作品を持ち込むというだけでなく、「学ぶこと」を出発点に京都という都市への具体的な関与を模索するものであり、Kyoto Meetingの趣旨を誠実なかたちで体現するもののひとつであったと言えるだろう。
今年特に注目すべき取り組みとして、新たにスタートしたBangkok Collaborate Kyoto Fellowship(BCK Fellowship)がある。これは2024年にバンコクで設立された新たな文化施設Bangkok Kunsthalle(バンコク・クンストハレ)とACKが共同で立ち上げたアワードで、受賞者には金銭的支援に加え、バンコクでのレジデンスおよび展覧会の機会が提供される。
今年の受賞者は、kurimanzutto(メキシコシティ)所属のWangShuiと、ANOMALY(東京)所属の玉山拓朗。このアワードによって開かれる越境的な環境は、両者の今後の実践に新たな展開をもたらすだろう。BCK Fellowshipの創設は、ACKが「コラボレーション」という概念をさらに拡張し、アジアのアート・エコロジーの将来像に積極的に介入していこうとする意志の表れでもある。
さらに、ACKは今年もパートナー企業との協働によるブースやプロジェクトを展開し、「コラボレーションの可能性」を別の角度から提示していた。大丸松坂屋百貨店が推進する「Ladder Project」は、世界での活躍を視野に入れた次世代アーティストの新作制作を継続的に支援するプロジェクトである。今年の対象作家に選ばれた山内祥太は、インスタレーションとバーチャル空間、パフォーマンスなど複数のメディアを横断し、生身の身体感覚とテクノロジーの交錯から生まれる知覚の揺らぎや、その境界の曖昧さを探ってきた。ACKで発表された新作は、単に「若手支援」の一例にとどまらず、企業・テクノロジー・アートのあいだにどのような実験的関係性が構築しうるかを示唆するものでもあった。
一方、高島屋京都店は京都髙島屋S.C.において「ART WEEKS」を開催し、「伝統と最先端が共振する場」を掲げる京都 蔦屋書店による「ART SESSION」と連携。本会場である国立京都国際会館と協働し、水戸部七絵とリュ・ジェユン(柳在潤)の作品を展示した。これにより、アートプログラムはメイン会場の枠組みを越えて京都市内に拡張され、商業施設・文化機関・アートフェアが共存する都市スケールのネットワークが立ち上がっている。


