スポーツ

2025.12.24 17:00

テニスのココ・ガウフ、年収51億円――「世界で最も稼いだ女性アスリート」首位に輝く

ココ・ガウフ(Photo by Taylor Hill/WireImage)

ココ・ガウフ(Photo by Taylor Hill/WireImage)

ココ・ガウフ(21)は、フォーブス「Forbes 30 Under 30」2026年版スポーツ部門で選出、また2025年「世界で最も稼いだ女性アスリート」ランキングで首位となった。テニスを始めた当初から並外れた期待を背負ってきたガウフは、数々の試練を乗り越えた今、大きな目標を見据えている。

約10年前、セリーナ・ウィリアムズの代役を務めた少女がテニス界の頂点に到達

ココ・ガウフがセリーナ・ウィリアムズと初めて対面したのは、今から約10年前のことだった。デルタ航空がCM制作のため、当時23回のグランドスラム・シングルス優勝を誇っていたウィリアムズの若い頃を演じる役を探しており、直前になって当時まだ10代前半だったガウフに声がかかった。その撮影現場で、彼女は憧れの存在と直接顔を合わせることになった。

「彼女が目の前を歩いていくのを見たとき、現実とは思えなかった。あれがイエス・キリストだと言われても、信じたと思う」とガウフは振り返る。

彼女がそう語るのも不思議ではない。ガウフの父のコーリー・ガウフが、娘に初めてのピンク色のラケットを買い与えたのは、2000年代後半、全豪オープンで圧倒的な強さを誇ったウィリアムズに魅了されたのがきっかけだった。幼い頃のガウフの寝室の壁には、ウィリアムズの写真が飾られていた。

だが、当時スターに憧れる子どもにすぎなかったガウフは、今やテニス界のトップに上り詰め、自身が周囲を驚かせる存在となっている。

総収入約51億5000万円に達し、「世界で最も稼いだ女性アスリート」で2年連続の首位に

フォーブス「Forbes 30 Under 30」2026年版スポーツ部門にも選出されたガウフは、2025年シーズンのWTAツアーを世界ランキング3位で終えた。これは、2024年に記録した自己最高の2位から1つ下の順位にあたる。シングルスの通算タイトル数は11に達し、その中には、2023年の全米オープンと、2025年の全仏オープンという2つのグランドスラム優勝が含まれる。全米オープンでは、24年前のウィリアムズと同様、10代での優勝を果たした。

ガウフは、2018年にプロ転向して以降、ダブルスでも実績を積み重ねてきた。2024年の全仏オープン優勝をはじめ、ダブルスでは計10大会でタイトルを獲得している。これまでに獲得した賞金総額は約3000万ドル(約46億8000万円。1ドル=156円換算)と、WTAの歴史の中で11番目に多い額に達している。

コート外での活躍も際立っている。ガウフは、ニューバランスやベーカー・ティリーに加え、最近ではメルセデス・ベンツとも契約し、スポンサー収入は年間で推定2500万ドル(約39億円)に達している。これに2025年の賞金約800万ドル(約12億5000万円)を加えると、税金や代理人手数料を差し引く前の総収入は3300万ドル(約51億5000万円)となる。

この金額により、ガウフはフォーブスが発表する「世界で最も稼いだ女性アスリート」ランキングで、2年連続の首位に立った。3300万ドルという数字は、フォーブスが女性アスリートの収入ランキングを公表してきた18年間の中でも屈指の水準だ。これを上回ったのは、セリーナ・ウィリアムズと、同じくテニス界のスターである大坂なおみの2人だけで、いずれも2021年に、それぞれ4590万ドル(約71億6000万円)と5730万ドル(約89億4000万円)を稼いでいた。

2025年「世界で最も稼いだ女性アスリート」ランキング上位10名

1位 ココ・ガウフ(テニス):総収入3300万ドル(約51億5000万円)○国籍 米国○年齢 21歳

2位 アリーナ・サバレンカ(テニス):3000万ドル(約46億8000万円)○ベラルーシ○27歳

3位 イガ・シフィオンテク(テニス):2510万ドル(約39億2000万円)○ポーランド○24歳

4位 アイリーン・グー(フリースタイルスキー):2310万ドル(約36億円)○中国○22歳

5位 ジェン・チンウェン(テニス):2260万ドル(約35億3000万円)○中国○23歳

6位 マディソン・キーズ(テニス):1340万ドル(約20億9000万円)○米国○30歳

7位 ネリー・コルダ(ゴルフ):1300万ドル(約20億3000万円)○米国○27歳

8位タイ 大坂なおみ(テニス):1250万ドル(約19億5000万円)○日本○28歳

8位タイ エレーナ・リバキナ(テニス):1250万ドル(約19億5000万円)○カザフスタン○26歳

10位 ジェシカ・ペグラ(テニス):1230万ドル(約19億2000万円)○米国○31歳

ビジネスでも主導権を握るため、大手と提携し自身のマネジメント会社を設立

それでもガウフは、大きな野心を抱いている。コート上では、自身の状態について「まだ自分のポテンシャルにはほど遠い」と感じているという。一方、ビジネスの世界でも彼女は次の一手をすでに用意している。

ガウフは2025年、テニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーが共同創業したブティック型のマネジメント会社Team8との契約を解消し、大手エージェンシーのWMEと組んで、自身のマネジメント会社「Coco Gauff Enterprises」を立ち上げた。これにより、「自分がやりたいことに関して、より多くの主導権を持てるようになった」という。9月には、トム・ブレイディ、マイケル・ストレイハン、ゴッサム・チョプラが設立したロサンゼルス拠点の制作スタジオ、Religion of Sportsと契約し、テレビ番組や映画、デジタルコンテンツの制作に取り組むと発表した。

単なる企業の広告塔にはとどまらず、自分自身が独立したブランドになることを目指す

「経験を積むにつれて、単にブランドの“顔”になるだけではなく、自分自身がブランドになりたいと思うようになった」とガウフは語る。「父は、私が幼い頃から、こうなることを思い描いていたが、それに乗るかどうかは私次第だとも言っていた。18歳になったとき、これが自分の力で取り組みたいことだと確信した」。

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翻訳=上田裕資

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