スポーツ

2025.12.24 17:00

テニスのココ・ガウフ、年収51億円――「世界で最も稼いだ女性アスリート」首位に輝く

ココ・ガウフ(Photo by Taylor Hill/WireImage)

両親が仕事を辞めてテニスの一大拠点に移住、娘の才能を最大限に伸ばす環境を整える

もっとも、その構想を実行に移すまでの道のりは、決して平坦ではなかった。両親のキャンディとコーリーは、ともに大学で競技スポーツを経験しており、子どもをアスリートとして育てたいと考えていた。娘がコート上で才能を発揮し始めると、2人は仕事を辞め、家族でジョージア州から、テニスの一大拠点である南フロリダへ移住した。引っ越し先では祖父母の家に身を寄せ、キャンディはガウフをホームスクールで学ばせ、コーリーはコーチを務めるようになった。

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その判断は、すぐに正しかったことが証明された。2012年、8歳だったガウフは、名門ジュニア大会として知られる「リトル・モー」サーキットのニューヨーク大会で優勝し、プロテニス選手として生きていくことを決意した。2年後、有望な若手として注目されていたガウフは、かつてセリーナ・ウィリアムズも腕を磨いたフランス・リビエラにある名門ムラトグルー・テニス・アカデミーに招かれ練習を積むことになる。10歳の誕生日からわずか3カ月後には、USTAクレーコート全米12歳以下選手権で史上最年少優勝を果たした。

ナイキではなくニューバランスを選び、ブランドの顔として将来を見据えた契約を締結

その頃には、スポンサー各社がこの神童に熱い視線を送り始めていた。両親は、早すぎる段階での契約には慎重だったが、2018年、全仏オープンのジュニア部門で優勝したことで、状況は変わる。ニューバランスが彼女に強い関心を示したのだ。ガウフは当初、ナイキと契約したいと願っていたものの、ボストン拠点のニューバランスは、将来を見据えた大きな構想を提示し、最終的に彼女と家族の心をつかんだ。

「彼女と仕事を始めた最初の日から、これはテニスだけにとどまる話ではないと伝えていた」と、ニューバランスの最高マーケティング責任者で、同社のビリオネアオーナーであるジム・デイビスの息子のクリス・デイビスは語る。「これは、単なるスポンサー契約ではなく、ブランドパートナーとして、彼女がブランドの顔になる機会だと考えていた」。

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プロ転向の翌年2019年にビーナス・ウィリアムズを破る大金星、ニューバランスの期待に即座に応える

結果的に、ニューバランスは大当たりを引いたかのように見えた。プロ転向翌年の2019年、15歳だったガウフはウィンブルドンの予選を勝ち上がり、本戦1回戦でビーナス・ウィリアムズを破る大金星を挙げてテニス界を驚かせた。経験豊富なベテラン選手を相手に2勝を重ね、一躍脚光を浴びた。その時点から、グランドスラム制覇への期待は一気に高まった。

決勝敗退の苦悩を乗り越え、2023年全米オープンでの劇的な逆転勝利により初の栄冠

ただ、その道のりは順風満帆ではなかった。2021年の全米オープンではダブルス決勝で敗れ、翌2022年には全仏オープンでシングルス、ダブルスともに準優勝に終わった。「立ち直るまでにかなり時間がかかった。もう2度と、あの場所に戻れないのではないかと思ったこともあった」とガウフは振り返る。

だが、転機はすぐに訪れた。2023年、ガウフは全米オープンのシングルス決勝まで勝ち進み、ニューヨークのアーサー・アッシュ・スタジアムを埋め尽くした熱狂的な観衆の前で、アリーナ・サバレンカを相手に劇的な逆転勝利を収め、初のメジャータイトルを手にした。

2023年、ココ・ガウフは全米オープンのシングルス決勝まで勝ち進み、初のメジャータイトルを手にした(Photo by Elsa/Getty Images)
2023年、ココ・ガウフは全米オープンのシングルス決勝まで勝ち進み、初のメジャータイトルを手にした(Photo by Elsa/Getty Images)
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翻訳=上田裕資

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