リーダーシップ

2025.12.26 14:00

コロナ禍の教訓はどこへ?「耐えろ」は解決策ではない──レジリエンスが企業を蝕む理由

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今日のレジリエンス問題を招いている3つの対応

全てのリーダーが同じようにすぐに戻ったわけではない。大きく分けて3つのパターンがみられた。

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1. 人間的な働き方のモデルを最初から信じておらず、慣れ親しんだ階層構造に戻って安堵したパターン

2. 人間的な働き方のモデルを信じてはいたが、市場が逼迫し、取締役会が確実性を要求した際にパニックに陥ったパターン

3. 信頼を基盤とした人間中心のシステムが長期的な業績に不可欠だと明確に理解しているが、そうした意見が短期的なプレッシャーと組織の慣性によって押しつぶされているパターン

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レジリエンスがあらゆるプレッシャーへの答えとなると、リーダーはより重要な問いを投げかけなくなる。その問いとは、このシステムは再設計する代わりに、人々に何を吸収させようとしているのか、というものだ。

誤ったレジリエンスの隠れた代償

この問いが重要なのは、誤ったレジリエンスの代償が累積するためだ。時が経つにつれ、信頼を蝕み、将来を担う人材の育成が滞る。そして有能なリーダー、特に面倒を見る人や過小評価されているグループの人を、本来なら活躍できる役職から追い出す。表面的には強さに見えるものが、実は脆弱性の下地となる。

進むべき道は、レジリエンスを完全に放棄することではない。レジリエンスが適切な場面と、リーダーシップの代わりに使われている場面を、はるかに厳密に見極めることだ。

再設計を可能に

健全な組織には、依然として適応力が必要だ。しかし適応力は、単なる耐性ではなく再設計を促すべきだ。それはリーダーに、単に構造的なずれへの対処能力を高めるよう促すだけではなく、方針やインセンティブ、ワークフロー、意思決定の権限の検証を促すべきだ。

将来的に成功するリーダーとは、チームに最大のレジリエンスを要求する人ではない。維持しているシステムについてより厳しい問いを投げかけ、人々や使命の役に立たなくなった慣行を手放す勇気を持つ人だ。

レジリエンスが、組織を後退させることがあってはならない。前進できる状況を作り出すものであるべきだ。そのためには、耐えることを称賛する姿勢を減らし、再設計する勇気を持つ必要がある。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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