ほとんどの人が、これまでに自分の成長を妨げたことがあるだろう。プロジェクトで進展があったり、恋愛で希望が沸き始めたり、目標に向かって順調に進み始めた直後に、それらを台無しにする行動を取ってしまう。先延ばしのスパイラルに陥ったり、けんかをふっかけたり、あるいは単にやめる。そうすることで、本来なら幸せをもたらす可能性のあるものを自ら遠ざけてしまう。この種の行動には「自己破壊(セルフサボタージュ)」という名称がつけられている。
表面的には自分の行く手を阻んでいるように見えるが、その背景には深い認知・感情的な力学が働いている。心理学の研究に基づき、人がいい結果がもたらされることを妨害してしまう理由を、4つ紹介する。
1. 自分のせいにしたくない
最もよく見られる自己破壊のパターンの1つが、心理学者が「セルフ・ハンディキャッピング」と呼ぶものだ。これは人が自らの成功に障害を作り出し、失敗した際に自分の能力ではなく外的要因のせいにできるようにする行動だ。
重要な試験の勉強を先延ばしにする学生を観察した研究で、典型的な例が示されている。試験がうまくいかなかった学生の大半は、計画性や自制心の欠如ではなく準備不足を理由に挙げた。試験でいい成績がとれた学生は、困難を抱えながらも成果を出したため大きな達成感を感じた。
セルフ・ハンディキャッピングは単なる怠惰や気まぐれではない。むしろ、自分が「不十分」である可能性のある状況や、期待通りに成果を出せないかもしれない場面で、自尊心を守るために用いる戦略だ。
言うまでもなく、この戦略は長期的には逆効果だ。前述の研究では、習慣的なセルフ・ハンディキャッピングは時間の経過とともに低い成績、努力の減少、回避行動の増加につながると指摘している。結局、そのときの自我を守るために結果を台無しにしてしまう。
2. 失敗や成功(あるいはその両方)への恐れ
自己破壊の主な感情的要因として、失敗への恐れが挙げられることが多い。だが研究では、成功への恐怖も同等の要因であることが指摘されている。ただし、これはあまり語られることはない。どちらの恐れも、実際には長期目標に沿っている機会を自ら損なう行動へと駆り立てる。
失敗に対する恐れは、回避行動を促す。物事がうまくいかなかった場合の厳しい自己批判から、身を守れるからだ。失敗すると自己否定的な考えを認めることになると心配する人は、先延ばしや早々に諦めるといった防御的な回避策を取りやすい。
成功への恐れは、さほど広く議論されないが同様に作用する。この恐れを引き起こすのは、成功に伴う結果への不安だ。より高い自分への期待(あるいは他人からの期待)、注目度の増加、あるいは慣れ親しんだ社会的役割に適合しなくなる感覚などだ。アブラハム・マズローのような心理学者はこれを「ヨナ・コンプレックス」と呼んだ。成功が新たな要求やアイデンティティへの脅威を生み出すとき、自らの潜在能力を恐れる現象のことだ。
こうしたことから、成功を自ら妨害することは、自分に向けられる期待がお馴染みのものであるコンフォートゾーンに留まる方法となり得る。たとえ、そのゾーンが満足のいくものではなくてもだ。



