米中央軍(CENTCOM)は今月、「スコーピオン・ストライク任務部隊(TFSS)」の発足を発表し、中東に拠点を置く「米軍初の片道攻撃ドローン(無人機)飛行隊」がすでに編成されたことも明らかにした。プレスリリースには、この飛行隊の低コスト無人戦闘攻撃システム(LUCAS、ルーカス)の画像も掲載された。この自爆ドローンは、イランとロシアが使用してきたシャヘドをリバースエンジニアリング(分解・解析)して開発されたという。
米国のピート・ヘグセス国防(戦争)長官は4カ月前、手ごろな価格のドローン技術の取得と配備を加速するよう命じたばかりだった。LUCASドローンの配備先としてイランの「裏庭」が選ばれたのは、もちろん偶然ではない。米軍はこれまで、高価な従来型ミサイルを少数発射することしかできなかった。しかし、いまではスコーピオン・ストライク部隊が、ロシアがウクライナに対して常態的に行っているような大規模なドローン飽和攻撃を実施し、米当局者に言わせれば「イランとの立場を逆転させる」ことが可能になった。
しかし、はたして本当にそうできるようになっているのか。別の情報からは、LUCASが実戦投入にはほど遠い状態にあることが示唆される。
弾頭は未搭載?
米陸軍も今月、アリゾナ州にあるユマ実験場(YPG)でのLUCASの試験に関するプレスリリースを出している。添付された画像に写っている機体は、米中央軍が公開したものと同じ機種のように見える。
YPGは砂漠地帯に5000平方kmほどの制限空域を有しており、長距離システムを試験するのに理想的な場所だ。もっともLUCASの場合、実弾頭を使った試験はまだ行われていない。
「安全認証試験の実施に先だって、まずは基礎的な段階を踏んでいるところです」。国防次官(研究・工学担当)室で実験担当の統括官を務めるニコラス・ロー大佐はプレスリリースでそう説明している。
しかし、肝心のLUCAS用弾薬がまだできていないようなのだ。
「最終的にLUCASに組み込まれる弾頭は、まだ製造されていないものの、低コストで、複数のメーカーによって量産される予定です。評価担当者は現在、不活性弾頭でLUCASの試験を行っています」とプレスリリースには書かれている。



