スタッツ・データはBリーグを新たな高みへ導くか
「2024-25 STATS REPORT」が示す多角的なデータ分析は、Bリーグが単なる「観るスポーツ」から、「分析し、戦略を立て、未来を予測するスポーツ」へと進化しつつあることを物語っている。
競技レベルの世界との差、多様化する編成戦略、若手育成の最適解――。これらの複雑な問いに対し、データは客観的な示唆を与えてくれる。スポーツ界においては「日本人はデータ活用が苦手」とレッテルを貼られて来た。これはアマチュアリズムや根性論が、長く幅を利かせてきた日本スポーツ界の悪しき遺産でもある。今後、データを取得し、そのデータが何を意味するのかを読み込む能力は、ますます必要とされる。こうした常識は、日本において、まだまだクラブレベルでは浸透しているとは言い難い。むしろいまだにデータを軽視する担当者は多い。これはスタッツ・データのみならず、マーケティング・データにおいても、日本スポーツ界の大きな課題だ。
リーグが「B.革新」を成功させ、真のグローバルリーグへと飛躍するためには、リーグ、クラブ、選手、そしてファンまでもが、この「データの意味」に耳を傾け、それを活用していくリテラシーを高めていくことが必要だろう。
スタッツは、単なる過去の記録ではない。それは未来を設計するための、最も信頼できる「ブループリント」。日本スポーツ界を成長させる、そのエンジンとしても、Bリーグのデータ革命も、まだ始まったばかりだ。
『2024-25 STATS REPORT』が語るBリーグの現在地。それは、フィジカルとリバウンドに頼った「旧来型バスケ」から、効率と規律を重んじる「世界標準バスケ」への過渡期にある姿だ。そして、課題は明確だ。
1.シュート効率の改善: eFG%を51%から54%台の世界基準へ引き上げる。
2.ターンオーバーの抑制: TOV%を13%台へ安定させる。
3.日本人ビッグマンの出場機会: 4%をどう改善し、代表強化につなげるか。
これらは精神論では解決できない。各クラブがデータを共通言語とし、編成、育成、戦術構築のすべてにおいて「数値に基づく意思決定」を徹底できるかが鍵を握る。
2026年のB.革新は、単なる制度変更ではない。それは、日本バスケ界が「世界」という巨大な壁に挑むための、新たな宣戦布告ともいえよう。次の10年、Bリーグは「世界第2位」の背中を捉えているのか。今後もスタッツ・データに着目してもらいたい。


