ドラフト制度と人材育成 大卒組 vs. 高卒組に見るデータインサイト
2026年1月に初めて予定されている「Bリーグ・ドラフト」は、リーグの未来を左右する重要なマイルストーンだ。レポートは、ドラフト制度導入を見据え、選手の進路選択と成長に関する興味深いデータを提供している。
レポートは、日本人選手を「大学キャリア組(大学4年間を全うしてプロ入り)」と「早期キャリア組(高校卒業後すぐ、または大学を早期に離れてプロ入り)」に分類し、その人数とスタッツの推移を比較している。
Bリーグ開幕当初、日本人選手の約95%は大卒組だったが、早期組の割合は年々増加、昨季には過去最高の約12%に達した。特筆すべきは、早期組の平均スタッツが向上。リーグスタート時のプレータイムが12分強、得点も4点だったものが、それぞれ15分、得点も6点に迫っている。プレータイムでは大卒組と拮抗、平均得点では4シーズン連続で大卒を上回っている。
さらに、リーグ在籍年数ごとの比較では、早期組の方が人数の減少ペースが緩やかで、「プロとしての選手生命が長い」傾向が見られた。一方で、大卒組は安定したスタッツ水準を維持する傾向がある。これらのデータは、大学での経験が安定した活躍の基盤となり得る一方、早期のプロ入りが高い成長ポテンシャルを引き出す可能性を示唆しており、ドラフト戦略や育成方針を考える上で重要な論点となるだろう。
こうした傾向は、NBAでも物議を醸し出した過去がある。NBAは、かつてNCAA出身選手で占められていたものの、アーリードラフト制度の促進。また1990年代後半からのコービー・ブライアント、ケヴィン・ガーネット、そして現在最年長でNBAの通算最多得点記録を更新し続けるレブロン・ジェームズらの高卒プレーヤーの大活躍が物議となり一時的だが、高卒プレーヤーのNBAデビューが禁じられたほどだ。
ドラフト制度の導入は、有望な若手選手がより早期に高いレベルでプレーする機会を増やし、リーグ全体の活性化と日本代表の強化につながることが期待される。各クラブは、スカウティングや育成において、これまで以上にデータに基づいた客観的な評価と戦略的な判断が求められる。


