ゲームにおけるタイムシェア戦略の多様性
各クラブのプレータイム配分(タイムシェア)の分析は、チームの哲学や戦術を如実に映し出す。昨季、B1におけるチャンピオンシップ(CS)に進出したクラブを見ると、宇都宮、千葉ジェッツ、群馬には「ガードまたはウィングの選手がプレータイム上位2名に入っている」「複数名の日本人選手が総プレータイムの10%以上を占めている」という共通点が見られた。これは、現代バスケにおけるバックコート陣の重要性と、日本人選手の層の厚さが上位進出の鍵であることを示唆している。
一方で、プレータイムの集中度にはクラブ間で大きな差が見られた。
例えば、CSファイナリストの琉球は上位9選手のシェア差が1%以内と極めて分散型だったのに対し、島根は上位5選手にプレータイムが集中する傾向があった。どちらの戦略が優れているかは言えないが、シーズンを通じ選手のコンディションを維持し、総力戦で勝ち抜くためには、琉球のような分散型モデルが一つの理想形となるのかもしれない。
B2では、圧倒的な勝率を誇ったA千葉と、昇格を果たした福井が、上位10選手全員のシェアが7%以上という、B1・B2を通じて最も徹底した分散型のタイムシェアを実行していた点は特筆に値する。
チームビルディングの最適解
オフシーズンの選手入れ替えは、チーム強化の常套手段だが、その「さじ加減」は難しい。レポートは、前シーズンからの「選手入替率」と勝率の関係性を分析している。
B1では、CSに進出した8クラブ中、入替率がリーグ平均(42%)を上回ったのは三遠と島根のみ。優勝した宇都宮に至っては、入替率がリーグ最低の約13%だった。
この事実は、B1上位においては、ロスターの継続性を重視し、チームケミストリーを熟成させることが成功の鍵となる傾向が強いことを示している。ただし、三遠のように大幅な刷新(入替率約60%)を行いながらリーグ最高勝率を記録した例もあり、的確な補強と戦術転換が奏功すれば、短期間での飛躍も可能であることを証明した。
一方B2では、PO進出8クラブ中5クラブが入替率50%以上であり、ロスター刷新が成功につながったケースがB1より多く見られた。しかし、下位クラブにも入替率が高いチームが多く、刷新が必ずしも成功を保証しないことも示している。カテゴリーやクラブの置かれた状況によって、最適なチームビルディング戦略は異なるようだ。


