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2025.12.23 14:15

Bリーグ世界2位への壁はシュート精度 データの通信簿が明かす成長の条件

makieni / Adobe Stock

日本人ビッグマン4%が明らかにした代表のジレンマ

近年の男子日本代表の躍進は目覚ましいが、リーグデータはその足元にある「歪み」も映し出している。

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「代表選手がいるクラブは勝つ」。 これはデータ上、揺るぎない事実だ。代表選手在籍クラブの勝率は.598、不在クラブは.384と圧倒的な差がある。しかし、ポジション別の日本人選手の出場時間分布を見ると、深刻な課題が理解できる。

B1において、PF/Cポジション日本人ビッグマンの登録人数は全体の約9%にも関わらず、その総プレータイムはわずか約4%。48%を占める外国籍選手、69%の帰化選手がインサイドを支配する現状において、日本人の長身選手が実戦経験を積む機会は構造的に奪われ続けている。これは、関係者が挙げる日本代表チームが抱える課題に直結するデータだ。「世界で勝つ」ための日本人ビッグマン育成は、リーグ全体として取り組むべきテーマだ。

逆に日本人選手のスタッツ分布からB1では、PG(ポイントガード)およびPG/SG(コンボガード)の割合が増加傾向にあり、24-25シーズンには日本人選手全体の約44%を占めた。これは、ゲームメイクやボールハンドリングにおいて、日本人ガードへの依存度が高い点を映し出している。

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つまり日本代表は、ゲームメイクやボールハンドリングに長けるものの、リバウンドやインサイドでは世界と勝負できない可能性を内包することになる。

時として、長崎の馬場雄大選手のように、リーグ戦では2Pシュート主体(3P試投割合31.4%)だが、代表戦では3P主体(3P試投割合60.0%)へとプレースタイルを変貌させる選手も見て取れる。リーグでの役割と代表での役割を使い分ける「適応力」が、現在の日本代表を支えているという点も見え隠れする。

「アメリカ一強」からの脱却 グローバル化の加速

リーグの国際化も、データ上で劇的な変化を見せている。開幕初年度(16-17)、外国籍選手の89%をアメリカ国籍が占めていた。しかし昨季、その割合は約69%まで低下し、国籍数も19カ国へと多様化した 。

これはNBAだけでなく、ユーロリーグやオーストラリアNBLなど、異なるバスケ文化を持つ選手たちが流入することで、戦術の幅が広がっていることを意味する。特にB2リーグでは、アルティーリ千葉のように選手入替率が低い(継続性が高い)クラブが圧倒的な勝率(.950)を残す一方で、外国籍選手の得点・リバウンドへの依存度が高い傾向も見て取れる。B2からB1へ昇格するためには「強力な個」が必要だが、B1で勝ち抜くには「組織的な効率性」が必要になる。このギャップをどう埋めるかが、昇格クラブの今後の共通課題となるだろう。

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文=松永裕司

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