スポーツ

2025.12.23 14:15

Bリーグ世界2位への壁はシュート精度 データの通信簿が明かす成長の条件

makieni / Adobe Stock

世界との乖離──シュート精度の低さ、リバウンドの強さ

レポートによれば、B1リーグのオフェンスリバウンド獲得率(ORB%)は約30.7% 。これはNBAの約25.2%を大きく上回り、フィジカル重視のユーロリーグ(約31.8%)に次ぐ2位。一見すると「日本はリバウンドが強い」とポジティブに捉えられがちだが、データアナリティクスの視点では別の解釈が成り立つ。すなわち「シュートが決まらないゆえにリバウンドを取らざるを得ない」という構造だ。

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課題も明確だ。シュート効率を示すeFG%(有効フィールドゴール成功率)を見ると、NBAが54.3%、ユーロリーグが55.1%であるのに対し、B1は51.3%に留まる。世界トップリーグと比較し、シュート効率が3〜4%も低い。さらに、TOV%(ターンオーバー発生率)はNBAの12.7%に対し、B1は14.5%と高い 。

「シュート精度が低く、ミスが多いが、泥臭くリバウンドを拾って攻撃回数でカバーする」。 これがデータから読み取れる現在のBリーグの標準的な戦い方である。B.革新が目指す「世界第2位」への道は、この「ハードワーク頼み」の構造から、「高効率・低ミス」の質の高いバスケットボールへの転換にあることが、明らかになる。オフェンス力の向上がリーグ全体のレベルアップに不可欠だ。

国内強豪クラブは、どのようなスタッツを残しているのか。勝率別のデータ分析が、その「勝者の法則」を明らかにしている。

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昨季、勝率6割以上を記録した上位クラブ(宇都宮、三遠、琉球など)のスタッツを見ると、明確な特徴が見られる。この3チームは、eFG%は52.8%とリーグ平均を上回る一方でTOV%は13.4%と極めて低い。対照的に、勝率5割未満の下位クラブのTOV%は14.4%〜14.6%と高い 。バスケにおいて、ターンオーバーは単なる攻撃権の喪失ではない。相手に最も得点期待値の高い「速攻」の機会を与える。

優勝した宇都宮ブレックスは、オフェンス効率(ORTG)が平均を下回るような不調な試合でも、勝率.645という驚異的な数字を残している 。これは、シュートが決まらない日でも、ミスを減らし、堅守で崩れないという「負けない構造」が確立されていることを証明している。

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文=松永裕司

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