自分のことを優先させたい女性
女性の変化はさらに顕著だ。「家族も大切だが自分のことを優先させたい」と考える女性は、45%から60%へと15ポイント増えた。

結婚・出産後も働き続ける女性は年々増えている。家族が自立して協力しあうようになったからこそ、女性も家族のためだけでなく、自分のキャリアや時間を大切にできるようになった。家族を優先しがちだった時代から、意識が大きく変わってきている。
人付き合いも無理をしない時代に
家族の中だけではなく、友人や職場での人間関係にも同じような変化が起きている。
女性で「人付き合いはわずらわしい」と感じる人は、57%から65%に増えた。一方で「人とのつながりを積極的に持ちたい」という女性は、61%から45%へと16ポイントも減った。男性がほぼ横ばいなのと比べると、女性の変化が際立っている。

フルタイムで働く女性が増えて時間に余裕がなくなったこと、コロナ禍を経て無理して付き合っていた関係を見直したこと。SNSで常につながっている状態が、かえって気疲れを生んでいることもあるだろう。
興味深いのは、「世の中うまくやっていくためには協調が大切」と考える人は87%で、10年間変わっていないことだ。人との関係は大切にしたいけれど、無理はしないという、家族に対して求めた干渉しない距離感が、職場や友人との関係にも同じように求められている。
10年で変わった距離感の背景
家事を分担する夫婦が増え、女性が自分の時間も求めるようになり、人付き合いも無理をしない方向に変わってきた。
背景にあるのは、女性の就労が当たり前になったことだ。その結果、女性も男性も仕事と家庭の両方を担うようになったからではないか。
調査では、家族や友人との関係で重視されるのはつながりの深さや広さではなく、互いに心地よいかどうかだと分析している。自分も相手も無理をせず、ちょうどいい距離感を見つけていくことが大切な時代になったのだといえる。
【調査概要】
調査名称:生活者の暮らしに関わる意識と行動調査
調査時期:2014年、2016年、2018年、2020年、2022年、2024年(各年9月)
調査対象:首都圏在住20〜60代既婚男女
調査方法:インターネット調査
有効回答数:2014年1796人、2016年1821人、2018年1910人、2020年1892人、2022年1811人、2024年1811人
出典:My Kaoくらしラボ 「無理をしない人付き合い 10年で変化した家族・人との距離感」


