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2025.12.19 15:45

食の未来は明るい! 船上の「EARTH MART FORUM」に見た希望

EARTH MART FORUMでステージに立つ「食の未来を輝かせる25人」 photo by Herbie Yamaguchi

2日目の朝は、“最高の朝食”とともに幕開ける。そのメインは、「食の未来を輝かせる25人」に選ばれた「サスエ前田魚店」の自家製イワシの干物と、「里山十帖」の桑木野恵料理長による山菜汁。ビュッフェ形式で楽しめる「立ち喰い梅干し屋」も好評で、おかわりする声が聞こえてきた。

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参加者の言葉で埋められたEARTH MART FORUMフラッグ photo by Herbie Yamaguchi
参加者の言葉で埋められたEARTH MART FORUMフラッグ photo by Herbie Yamaguchi

神戸港が近づくと、下船も直近。クロージングセレモニーは、ゲストのなかからスピーカーを募るスタイルで展開された。思いの外、次々に手が上がり、10人ほどが順次ステージへ。「万博の利益を用いた能登の支援」を提案する人、「食べ物をつくり手へのリスペクト」を語る人、「海や水産資源の保全」を訴える人、「映像制作への協力」を求める人……それぞれが24時間で得た気づきやアイデアを伝えた。

最後に小山の指名で登壇したのは、シグニチャーパビリオン「Better Co-Being」を手がけた宮田裕章。「万博を振り返ると、プロデューサー同士の議論でも最後まで激しくぶつかり合うこともありました。しかし、それを単なる対立や中立に収めるのではなく、異なるままに響き合わせることができた。無数の議論の起きたこのフォーラムは、万博を象徴するような素晴らしい時間でした」。

シグニチャーパビリオンのプロデューサーの一人、慶應義塾大学教授の宮田裕章(c)EARTH MART FORUM
シグニチャーパビリオンのプロデューサーの一人、慶應義塾大学教授の宮田裕章(c)EARTH MART FORUM

日本国際博覧会協会の髙科淳副事務総長は閉会の挨拶で、少し違う視点でフォーラムと万博の共通点を語った。「万博の価値は何かを聞かれることが増えてきましたが、それは大きく2つ。一つは、何でもオンラインで済む時代に、実際にその場に立ち未来を体感するリアルな体験の価値を示せたこと。もう一つは、多様な人々が集い、違いを超えた新しいつながりが生まれたこと。この船でも多くのつながりと未来への“種”が生まれたとのこと。これこそが万博の成果であり、未来へのレガシーだと思います」。

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午前10時、神戸港。下船するゲストの顔には笑顔があふれていた。最後のチャンスと挨拶を申し出る人、再会を誓う人、感想を語り合う声……。思い返せば、コメ問題、フードロス、温暖化、物流危機と“問題“が話題になる食でありながら、船では問題を語るのでなく、それを解決する、違う道を探るポジティブな話ばかりが繰り広げられていた。

数日後、録食の野元はチーム一同で飯田商店を訪れたという。小山がオープニングで言っていた「数年後に振り返ったときに、そういえばあの飛鳥クルーズで出会ったことがきっかけだったよね」という新たなプロジェクトの誕生を楽しみに待ちたい。

ディナーの様子 (c)EARTH MART FORUM
ディナーの様子 (c)EARTH MART FORUM

文=鈴木奈央

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