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2025.12.19 12:00

TikTok、オラクルなど米国投資家との取引で米国での禁止回避へ

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TikTokは、米国事業体について、米国の投資家と新たなジョイントベンチャーを設立することで合意に達した。これにより、人気が高い一方で物議も醸してきた同ソーシャルメディアアプリをめぐる長期の入札合戦は終結する見通しとなった。ジョー・バイデン前大統領が、米国が承認する買い手が見つからなければ同アプリを禁止する法律に署名してから、ほぼ1年後のことだ。

取引は1月に成立する。

Axios(アクシオス)は、TikTokの最高経営責任者(CEO)であるショウ・チューが送付した社内メモを引用し、取引は2026年1月22日に成立する予定で、オラクル、未公開株投資会社のSilver Lake、アブダビを拠点とする投資会社MGXが米国事業体の45%を保有すると報じた

次にTikTokが禁止され得る期限は1月23日である。これはドナルド・トランプ大統領が9月に署名した直近の期限延長を受けたもので、米国が承認する事業体にTikTokの米国資産の80%を売却することを求める取引の期限が先送りされていた。

TikTokの中国の親会社であるByteDance(バイトダンス)は、バイデン前大統領が米国での売却か禁止かを迫る法律に署名する前から、米国の議員情報機関により、国家安全保障上のリスクをもたらすと指摘されてきた。

チューはメモの中で、合意に向けてなお詰める作業が残っているとも記し、バイトダンスとTikTokの双方がその条件に同意したと述べた。

TikTokはこの取引についてコメントを控えている。

TikTokの買収に関心を示した企業はどこか?

2024年末、米国でTikTokを売却しなければ禁止する法律が成立して以降、複数の企業が同アプリの持分取得に関心を示した。マイクロソフトはトランプにより潜在的な買い手として挙げられており、マイクロソフトは2020年にもTikTokに買収提案を行っていた。アマゾンも候補に挙がり、米国事業体だけでなくTikTok全体を対象にした提案を行ったと報じられている。上場企業でアプリ向け広告会社のAppLovin(アップラビン)もTikTokに買収提案を行い、億万長者のカジノ大物スティーブ・ウィンの支援を受ける可能性があった。買収レースに参加した他の企業や著名ビジネス関係者としては、ウォルマート、Perplexity AI、ユーチューバーのジミー・ドナルドソン(MrBeastとしても知られる)、そして億万長者フランク・マッコートのインターネット擁護団体であるProject Liberty(プロジェクト・リバティ)が含まれていた。

また、9月にJ・D・バンス副大統領が出した声明によると、新たに設立される米国会社の評価額は140億ドル(約2兆1800億円)になる。

背景

トランプ大統領は2025年9月、TikTokの米国資産を中国以外の事業体に売却するという自身の計画が、バイデン前大統領の「売却か禁止か」法に盛り込まれた国家安全保障上の懸念を満たすと宣言する大統領令に署名した。米国の議員は2024年、中国がByteDanceに対し、米国利用者のデータを中国共産党に共有するよう強制する可能性があるとの懸念を表明した。議員はまた、中国共産党がTikTokの推薦アルゴリズムを使ってプロパガンダを拡散したり、選挙に影響を与えたりすることも恐れていた。

だがトランプ大統領は2025年8月、TikTokをめぐる国家安全保障上の懸念を「著しく誇張されている」と表明し、自分はそれについて「本当に」心配していないと述べた。ByteDanceは、中国政府の言いなりだとする非難を否定し、データプライバシー侵害に関する疑惑も否定してきた。

Forbesの報道では、TikTokが記者を監視するために使われたことや、米国企業の機密性の高い事業情報を不適切に取り扱ったことが明らかになった。Forbesの別の報道によれば、同アプリはコンテンツ制作者の金融情報やソーシャル・セキュリティー番号(社会保障番号)を中国に保管していたという。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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