欧州

2025.12.19 09:00

「女性なしでは戦争に勝てない」 ウクライナの前線で女性兵士や活動家が活躍

ウクライナ中部キーウ州の基地で銃器訓練を行う同国軍の女性兵士。2024年11月2日撮影(Yevhenii Vasyliev/Global Images Ukraine via Getty Images)

ウクライナ軍は2022年後半に南部ヘルソン州と東部ハルキウ州で反攻を開始したが、西側諸国がちゅうちょしたために同軍が優位に立つことは難しくなった。その後、長期にわたる消耗戦が続いている。戦争が長期化するにつれ、ウクライナ軍は慢性的な兵力不足に陥っている。

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米シンクタンク大西洋評議会のエイドリアン・カラトニッキー上級研究員は、米国のジョー・バイデン前政権が戦争のあらゆる局面でウクライナを裏切ったと指摘。「同政権は過剰な警戒心から重要な武器を保留し、ウクライナが存続を懸けた戦いを展開する方法を著しく制限した」と批判した。こうした制限が紛争を長期にわたる消耗戦に陥れる一因となり、軍の負担が増大しただけでなく、民間の物流やボランティアへの依存も高まり、女性が担わざるを得ない役割が増えている。

社会の空白を埋めるウクライナの女性

ウクライナのボランティア体制を維持する上で、現在では女性たちが中心的な役割を担っている。ホロウコは、避難バスの運転手や人道支援物資の配送など、危機地域で働く女性が増えていると述べた。これは、避難民や物資の運搬から現場での調整や資金調達に至るまで、女性が危険度の高いボランティア活動の相当な割合を担い、民間人と軍隊を支援するために膨大な負担を負っていることを示している。

その変化の一部は、必要に迫られて進められた。多数の男性が軍隊に動員されたため、人道支援団体は深刻な人員不足に陥っているのだ。ホロウコは、男性の不足が深刻だと指摘する。これにより、最前線地域からの避難活動や大型車両の運転、戦闘地域への物資輸送など、かつては男性のみが担っていた役割を女性が引き受けるようになった。

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ドブラスプラワ内でも大きな変化があった。2022年の設立当時、同団体は20人以上のボランティアの運転手で構成されており、そのほとんどは男性だった。だが、現在ではそのほぼ全員が軍隊に入隊しており、男性であっても高齢のボランティアはもはや体力的な活動の負担に耐えられないという。ホロウコは「現在、当団体は女性運転手を含む2つのグループを運営している」と説明。活動の負荷が増すにつれ、女性運転手の数は増え続けていると述べた。

多くの女性は愛する人が動員されたことをきっかけにボランティア活動を始めるが、その活動が天職となるために続けているとホロウコは語る。「必要性を感じれば、性別は関係ない。戦争によって、女性たちは勇敢に決断力を持って、最も重要な場面で責任を引き受ける覚悟を持つようになった」

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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