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2025.12.19 08:30

トランプ・メディア株が一時36%高、核融合企業TAEテクノロジーズとの合併で

Thomas Fuller/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

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米国時間12月18日、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループの株価は、全株式交換によるTAEテクノロジーズとの合併を発表したことを受け、一時約36%高となった。両社の発表によれば、この合併におけるTAEテクノロジーズの評価額は約60億ドル(約9300億円。1ドル=155円換算)とされている。

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プレスリリースによれば、この合併は全株式交換により実施され、両社の既存株主は合併後の新会社の株式をおおよそ50%保有することになると説明した。

これを受け、トランプ・メディアの株価は一時約36%高の14ドルまで上昇した。

声明によれば、同社は2026年に合併を完了した後、「世界初の実用規模の核融合発電所」の建設を開始する計画で、この発電所は50メガワットの電力を生み出す見通しだという。

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今回の契約条件によると、トランプ・メディアは契約締結時にTAEテクノロジーズへ最大2億ドル(約310億円)の現金を支払い、さらに合併などの際に用いる「フォームS-4」を米証券取引委員会(SEC)に提出後、追加で1億ドル(約155億円)を支払うとされる。

この取引が完了した後、トランプ・メディアは、TAEテクノロジーズとその子会社、トゥルース・ソーシャル、動画配信サービスのトゥルース・プラス、および計画中の金融サービスプラットフォームであるトゥルース・ファイを傘下に置く持株会社となる。

トランプ・メディアのデビン・ヌネスCEOと、TAEテクノロジーズのトップであるマイケル・ビンダーバウアーは、合併後の新会社で共同CEOを務める。

今回の急騰以前、トランプ・メディアの株価は10月以降で40%超下落しており、今年に入って大きく下落した、トランプ大統領が関係する企業の1社とされていた。

この取引についてコメントしたヌネスは、核融合発電を「1950年代に商業用原子力が始まって以来、最も劇的なエネルギー分野のブレークスルー」だと称賛した。元共和党下院議員であるヌネスはさらに、核融合発電が「エネルギー価格を引き下げ、供給を拡大し、米国のAI分野での優位性を確保し、製造業の基盤を再生し、国家の防衛力を強化する」と主張した。

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、1998年に設立されたTAEテクノロジーズは、核融合に注力する世界最古の非公開企業の1社である。2025年に同社は1億5000万ドル(約233億円)の資金調達を実施し、このラウンドにはグーグルやシェブロン・テクノロジー・ベンチャーズなどが参加した。当時の時価総額は公表されていないものの、同社は設立以降、これまでに約13億ドル(約2015億円)を調達している。

3年前には、カリフォルニア州ローレンス・リバモア国立研究所にある米国立点火施設(NIF)で、核融合発電における大きな進展が発表された。エネルギー省の発表によれば、研究者らは世界で初めて核融合点火に成功したという。これは、制御された核融合実験において、反応を引き起こすために投入したエネルギーを上回るエネルギーが生み出された、世界初の事例であった。

この発表はTAEテクノロジーズのような企業を後押しし、同社はこの成果を「核融合時代の幕開け」と呼ぶ声明を出した。ただし当時、専門家らはフォーブスに対し、核融合の商業化は依然として「まだ先の話」だと語っていた。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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