成長産業の支援を行うフォースタートアップスが11月11〜13日に開催したカンファレンス「GRIC(グリック)2025」では、国内外の投資家や起業家が集まり、日本のスタートアップ企業がより大きく成長するために必要なこと、グローバル展開を成功させるためのカギなどについてのトークセッションが行われた。
その一つに登壇したのが、楽天グループ会長兼社長で新経済連盟代表理事の三木谷浩史氏だ。「未来を切り拓く事業創造とアントレプレナーシップ」と題したセッションでは、スマートフォン向けゲームアプリを手がけるドリコムの代表取締役社長 内藤裕紀氏、フォースタートアップス執行役員の鈴木聡子氏が三木谷氏に問いを投げかけながら、これから海外事業に挑戦していく若手起業家に必要な考え方、さらにはAI時代に求められる企業のあり方について議論した。
オペレーション力でGAFAMに対抗する
鈴木:三木谷さんは、日本が直面している世界とのビジネスの競争環境を、どのように見ていますか。
三木谷:過去30年ほどを振り返ると、最大の変化は、GAFAMに加えてOpenAIといった超巨大プレイヤーが世界のIT市場を席巻したことです。こうした勢力に対抗していくために、楽天はもちろんですが、次世代の起業家が努力し、世界で勝てる事業をつくり出していく必要があります。
楽天のモバイル事業では、世界的に有名なファストフードチェーンの店舗に当社のクラウドソリューションが導入されることが決まりました。これは、従来、専用の設備や機器によって構築されていた通信を、クラウド上でできるようにした全く新しい通信技術です。楽天市場など既存領域でGAFAMと戦うのは難しいと感じていましたが、新たなモバイルネットワークという領域であれば世界を狙える。そう考えて、グローバル展開を進めています。

鈴木:海外で事業を展開するうえでどのようなことを意識されていますか?
三木谷:GoogleもOpenAIも、最初は小さなガレージからビジネスをはじめているわけですよ。そういう意味で、勝負はイーブンであると考えています。日本人の起業家たちは、イーロン・マスクやサム・アルトマンの行動をみて圧倒されてしまう印象を受けますが、僕の中にはそういう感覚はあまりないんです。



