スタートアップ

2025.12.22 12:15

世界的ファストフードチェーンが導入、楽天・三木谷氏「オペレーションでGAFAMに対抗」

内藤:海外の起業家と比べて、自分はせいぜいこれくらいの事業しかできないだろうと思ってしまう人は多いと思いますが、三木谷さんはそうではないですよね。思考にキャップをはめない方法は、何かあるんですか?
 
三木谷:重要なのは、自分がやりたいと思った事業の本質をシンプルに考えること。携帯事業でいえば、Wifiは安く使えるのに、携帯料金が高いままなのはなぜかを考える。携帯料金が高いのは、膨大な計算が必要だからで、ならばクラウドを使って計算を軽くできるようにすれば安くなるよねと。そして、本当にそれは自社にしかできないことなのか、本当に世の中にバリューがあることなのかを突き詰めて考えれば、海外でも競争力のある事業はつくれると思います。
 
ビジネスはイノベーションとオペレーションで構成されていると思っています。残念ながら、イノベーションだけでGAFAMに対抗するのは難しいですが、楽天のモバイル事業の強さは、完全仮想化ネットワークという技術で携帯の通信にブレイクスルーを起こしたことに加え、基地局の設置や、保守、運用といったオペレーションを愚直に進められる力にあります。私が見るかぎり、米国のテック企業の多くはオペレーションをしたくない人の集合体。そこが差別化のポイントになります。

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AI時代の企業のあり方

内藤:これからのビジネスについても聞かせてください。AIが日に日に社会に浸透してきていますが、今後、どこにビジネスチャンスがあると思いますか?
 
三木谷:確実なのは、AIによって生産性が上がり、社会全体でカネと時間が余るということ。そうすると、それらは内藤さんがやっているようなゲームのようなコンテンツに流れていくでしょうね。
 
同時に思うのは、モノやサービスがより簡単にたくさん生み出せるようになるなかで、人はストーリーなど情緒的価値に重きをおくようになるということです。だからこそ重要なのはストーリーが語れるようなブランドをもつことです。企業なら、単に利益を生むだけの組織ではダメで、使命をもったプロジェクトを進めていく団体になっていく必要があります。

 

楽天モバイルの場合は、日本の携帯市場を変えるプロジェクトが世界に波及して、最終的には、どこの国の人も新しいネットワークを使うことで、みんながいろいろなコンテンツやAIを楽しめるようにしたいと思って事業に取り組んでいます。そのプロジェクトにみんな乗っていこうと呼びかけて、うちの社員の人たちには頑張ってもらっています。
 
鈴木:今日は若手の起業家も多く集まりました。メッセージをお願いします。
 
三木谷:かつては「財政投融資を増やせば経済が伸びる」と言われていましたが、真の経済成長を生むのはイノベーションしかありません。そしてイノベーションを起こすのはアントレプレナーです。自分たちが日本経済をドライブするんだという気概をもって事業に取り組んでくれたら嬉しいなと思います。

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文=露原直人

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