講演の主眼が重要な産業システムへの影響に置かれていた一方、偽情報と民間人を直接標的としたサイバー攻撃にも焦点は当てられた。
「全ての市民が標的となる」とカラディは指摘。今年6月にイスラエルがイランを軍事攻撃した「ライジング・ライオン作戦」の間に起こったこととして、「イスラエルの民間人を標的とした1200件の影響工作キャンペーンが展開された。すなわち、2週間のうちに数百万人の市民が少なくとも一度は欺瞞的なメッセージを受け取ったり、影響工作動画に接したりした」と説明した。
その上で、カラディは改めてイランの脅威を強調。「イスラエルの軍・政府・学術関係者を標的に、物理的な脅迫を目的とした情報収集を行っており、しかもイラン系の脅威グループによる活動は、純粋なスパイ・情報収集から破壊的なサイバー攻撃に移行しつつある」と語った。
イランのこの特質ゆえに、事態は極めて深刻だ。米国とその同盟国が、中国やロシア、およびこの両国を軸とする諸国との対抗姿勢を維持する中、最初の本格的なハイブリッド・サイバー戦争は中東で起こるだろう。そして、それはそう遠くない未来の可能性が高い。
「デジタルシステムへの完全なる依存」にカラディは警鐘を鳴らし、これが「生活のあらゆる領域における人工知能(AI)の爆発的普及と相まって、並外れた機会をもたらす一方で、新たな脅威をも生み出し、サイバー敵対者にほぼ無限の戦場を提供している」と危機感を促した。


