2025年9月中旬、米スタンフォード大学の一角にある美術館の庭には円卓が並び、スーツやドレス姿の人たちがワインを手に交流していた。日米の産官学民のリーダーたちが、NPOシリコンバレー・ジャパン・プラットフォーム(SVJP)の創設10周年と「SVJP イノベーター・アワード 2025 -Forbes JAPAN協賛-」の受賞者を祝うガラ・パーティーに参加していたのである。
今年から、新進気鋭のプロフェッショナルに贈られる「SVJP ヤング・プロフェッショナル・アチーブメント・アワード -Forbes JAPAN協賛-」が新設された。その記念すべき受賞者には、米プロバスケットボールNBAの名門ロサンゼルス・レイカーズに所属する八村 塁選手(27)が選ばれた。
名を呼ばれると、薄青のシャツをスマートに着こなした八村が軽やかな足取りで壇上に進んだ。その一際目立つ身長とアスリートらしい堂々たる体躯は、各界のリーダーが集まる一群にあっても存在感を放つ。プレゼンターは、ニューヨーク・ニックス時代に二度のNBA制覇という金字塔を打ち立て、殿堂入りも果たしているレジェンド、米元上院議員のビル・ブラッドリー(82)が務めた。
「(八村選手には)まだ果たすべきことがたくさんある」。ブラッドリー元上院議員はそう激励すると、八村は「上院議員がレイカーズのファンだということがわかりました」と軽妙なジョークで応酬。宿敵ニックスの英雄による愛のある叱咤を、レイカーズの現役スターが粋な返しで受けて立つ――。NBAの新旧スターによる見事な掛け合いに、会場は喝采に包まれた。
八村が今回「SVJP ヤング・プロフェッショナル・アチーブメント・アワード」を受賞したのは、アスリートとしての実績だけが理由ではない。自身のブランド「BLACK SAMURAI(ブラックサムライ)」を掲げ、スポーツビジネスの新たな地平を切り拓く「起業家」としての活動も評価されたのだ。



